小松 寛(成蹊大学アジア太平洋研究センター主任研究員)
高江洲 昌哉(神奈川大学等非常勤講師)
「反共社会の形成と反米政党の活動―人民党への支持と活動を事例にして」
「沖縄県庁の幹部人事―『保革の論理』と『行政の論理』の交錯」
「『オール沖縄』・翁長県政とは何だったのか」
上原 こずえ(東京外国語大学世界言語社会教育センター講師)
(敬称略)
■参加者数:50名
本研究会は、返還から50年目を迎えた沖縄の政治と行政をテーマとして、研究者を対象に開催されました。日本復帰後の沖縄政治もまた、保守と革新の対立を主軸として展開されてきました。戦後沖縄における保守と革新はどのような特徴を有し、沖縄をめぐる政治にいかなる影響を与えてきたのか。このような問いを検討するため、2022年1月刊行の『戦後沖縄の政治と社会―「保守」と「革新」の歴史的位相』(平良好利・高江洲昌哉編、吉田書店)から3名の執筆者が報告を行い、歴史学および行政学の視座から議論しました。
高江洲報告は米国統治期における反共社会の沖縄で、反米を掲げた政党がどの程度活動できたのかを当時の東アジア全体の状況と照らし合わせながら論じました。川手報告は革新と保守の知事の入れ替わりが、副知事や部長といった幹部人事にどの程度影響を与えたのかを考察しました。櫻澤報告は2014年の「オール沖縄」翁長雄志県政の誕生と沖縄社会のさらなる分断について問題提起を行いました。討論者の上原からは、沖縄社会の「分断」は克服されるべきなのか、それとも健全な民主主義が機能していると捉えるべきなのかという論点が提示されました。池宮城はこれらの研究は「保守と革新」という二項対立的な枠組だけでは捉えきれない事象の存在も逆照射しているではないかと指摘しました。
以上の報告者と討論者のほか、フロアからも質問が寄せられるなど、本研究会は非常に活発な議論が展開されました。最後には現在の「沖縄問題」の根本を理解するために、歴史や政治、社会に関する知見の蓄積が重要であり、それこそがアカデミズムに求められている役割であることが再確認されました。
(CAPS主任研究員 小松 寛)
記事掲載『CAPS Newsletter No.155』予定

下段左から、池宮城陽子 上原こずえ 櫻澤誠(敬称略)