研究活動紹介
1998年東京工業大学大学院博士後期課程修了 博士(工学). 東北大学・東京工業大学・英国クイーンズ大学ベルファスト等を経て、2015年より現職. UK EPSRC SI Award等.「プラズマ科学」も主要な研究テーマとし、光と粒子のマルチフィジクス・モデリングを行う.
電気をどのようにつくり、どのように使うのか。街づくりにおいては欠くことの出来ない視点です。発電・送電・配電の技術、国や自治体の政策・施策、実社会の経済的側面、私たちがどのような将来を望むか、など複雑に絡み合った事象を"モデル化" すなわち、たかだか人間が理解できる程度にまで単純化して表すことができないでしょうか。
アイザック・アシモフの古典的SF小説「ファウンデーション」* には、銀河帝国の滅亡を乗り越えて人類が再生・再興する未来を一千年にわたり予測可能な学問が描かれています。それは、一定の社会的・経済的刺激に対する人間集団の反応を扱う数学の一分野、だそうです。
そこまで壮大な話でなくてもかまいません。私たちの電気の使い方一つをとっても、街全体の将来像を予測することは簡単ではないのです。それは、理学・工学的な自然科学(ハードな科学)と、経済的・心理的な社会科学(ソフトな科学)の両側面を考えにいれる必要があるからです。
変化する街の構造・形態は、その機能・活動にどのような影響を与えていくのでしょうか。為政者の打ち出すキャンペーンと個人間に広まる噂(うわさ)は、どちらが大きな影響力を持つのでしょうか。自己の利益を最優先する個人の集まりは、地域全体としての"スマートさ"を生み出すのでしょうか。ハードサイエンスとソフトサイエンスを融合することで、至近未来の描像を得たいと考えています。