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【報告】成蹊気象観測所の三上所長が過去98年間の観測成果について講演しました

第15回気象学史研究会「日本における都市気候研究の展開-都市気候研究における長期気象観測の意義-」
■日時
2024年5月18日(土)14:00~16:00
■場所:
国立情報学研究所1903会議室およびオンライン
■参加人数:
会場20名、オンライン70名
■主催:
日本気象学会気象学史研究連絡会

気象学史研究会は、その名の通り気象学の歴史に焦点を当てた研究会です。当日は、日本気象学会の研究者のほか一般の方も参加されていました。三上所長は「吉祥寺・成蹊気象観測所98年の歴史」というテーマで、東京で気象庁に次いで古くから気象観測を行っている成蹊気象観測所の観測方法と観測データについて講演しました。

過去98年間の観測データからは、成蹊学園がある吉祥寺でも日平均気温が上昇していること、その上昇量は約3℃で、都心で観測された気象庁と同程度であること、桜の開花も4月上旬から3月中旬に近づいていることなどが読み取れます。1963年に始まった視程観測の結果からは、東京タワーや富士山が見える日数が増加し、東京タワーが見える年間日数は、観測開始の頃から6倍以上に増えていることなどが示されました。

特に2023年は、これまでで日平均気温が最も高く、桜の開花日が最も早く、東京タワーや富士山の可視日数が一番多くなりました。三上所長は、気候の変化がこれらの観測結果にも現れていると指摘しました。

講演後の討論では、参加者から、100年に迫る気象観測を気象庁以外の観測機関が行っていることの意義や、東京都心と郊外での比較ができることの重要性についてご意見をいただきました。また、観測手法や、データの利用と公開についての質問もありました。

気象学史研究会は、日本気象学会の大会開催期間に開催されます。気象学史研究会のウェブページには、今後、講演の開催報告と当日の公演動画(YouTube)が掲載される予定です。

詳細は、こちら(外部リンク:日本気象学会気象学史研究連絡会HP)

(報告者:成蹊気象観測所副所長 田中博春)