経済学部の学び 少人数教育のゼミから 組織における人間心理

人間心理への理解を通し、
組織の活性化を図る

古川 裕斗 さん

経済経営学科4年(2018年度公開時) |
私立八王子学園八王子高等学校 出身

ゼミ(演習)で組織における人間心理を学ぼうとしたきっかけは、所属する陸上競技部を個人競技者の集団ではなく、互いに切磋琢磨できるチームにしたいという思いでした。競技に対する考え方も様々なチームに画一的なリーダーシップは通用しません。組織理論を通して、集団の多様なあり方を学ぶことがチームを率いる手掛かりになると考えたのです。3年次は理論の基礎を学んだ上で、グループごとにテーマを追究します。充実した研究結果が得られた際は、実際に企業や外部の団体に対して提言する機会も与えられます。私たちのグループは大学に焦点を当て「成蹊大学の強みを生かす組織活性化」をテーマとし、全学年・全学部の学生を対象とするアンケート調査を実施しました。調査に先立ちゼミの中で立てた仮説を、集計結果から検証するとともに、成蹊大学からの発信力向上が重要であるという提言をまとめ、学長にプレゼンテーションしました。成蹊大学の良さを発信できればブランド力が高まります。それがどのように人の心理に働き、組織を活性化するかについては、引き続き学術的に考察を深めつつ、そのメカニズムを明らかにしていきます。実証調査と理論により組織における人間心理の特徴を体系的に理解し、陸上競技部の発展や社会での仕事に役立てたいと考えています。

教員メッセージ

義村 敦子 教授

組織心理学や人的資源管理論に基づいて、実証的に研究しています。学生にも、アンケートやインタビュー、実地見聞などの実態調査を求めます。こうしたアプローチ以前に重要なことは、研究テーマの設定です。まず、学生一人ひとりが興味を持った研究テーマを発表し、問題意識を共有する班を編成します。研究テーマ設定後、仮説を立てた上で調査に着手します。テーマの設定・仮説・調査・検証の過程を踏むことで、こうした構成を必須とする学術論文の進め方について事前に試行することがねらいです。4年次は、さらに理論を重視した仮説検証を試みます。実効性の高い組織改革案を提出できた班は対象組織での研究発表機会を与えることもあります。卒業後に所属する組織や社会をより良くする方案を提言できる力を付けてほしいからです。

経済学部教授。専門分野は組織行動論、人的資源管理論。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。博士(商学)。2007年から現職。著書に『基礎研究者の職務関与と人的資源管理』など。