【重要】提出物(自然言語によるもの)の作成における生成AIの利用に関する規準
2025年10月15日
成蹊大学長 森 雄一
全学教育運営委員会委員長 山田 崇人
高等教育開発・支援センター所長 渕 史彦
提出物(自然言語によるもの)の作成における生成AIの利用に関する規準
※以下の規準は、日本語や英語などの自然言語でレポートや学位論文等の提出物を作成する場合における、文章生成AIの利用ルールについて定めたものである。
プログラミング言語・数式・画像・映像等、自然言語以外の形式による提出物の作成過程における生成AIの利用については、所属する学部・学科・研究科等または当該課題の担当教員からの指示に従うこと。
(生成AIが全部または主要部分を作成した文章の提出禁止)
第1条 学生が生成AIに出力させた文章そのもの、またはその字句や構成を多少変更した程度であって、学生本人の思想および知的能力を正しく反映しているといえない文章は、実質的に当該学生の著作とは認められない。したがって、そのような文章を、生成AI利用の事実を秘して当該学生の名でレポートや学位論文等の全部または主要部分として提出することは、提出物の作成主体を偽る重大な不正行為であり、厳禁する。
(学修上の到達目標の達成を妨げる生成AI利用の禁止)
第2条 当該課題の性質上、生成AIを利用すると学修上の到達目標の達成が困難になると考えられるときは、生成AIを利用してはならない。特に、外国語を学ぶ科目、外国語の文献を扱う科目および外国語で授業が実施される科目において、異なる言語間の翻訳または外国語による文章執筆の課題に取り組む場面では、生成AIの利用を原則として禁止する。ただし、外国語にかかわる科目のうち、生成AIの適切な使い方を学ぶことが授業の目的に含まれる科目においては、この限りでない。
(補助的な生成AI利用が許される場合および利用時の遵守事項)
第3条① 第1条または第2条にあたる場合を除き、学生が自身の思想および知的能力に基づいてレポートや学位論文等を執筆する過程で、執筆用の資料を整理・分析する作業等のために補助的に生成AIを利用することは、生成AIの出力結果を十分に吟味・検証して用いる場合に限り、許される。
② 前項の規定に基づき補助的に生成AIを利用する際には、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。なお、念のため付言すると、本項各号は、生成AIの利用が許される場面で生成AIを利用するにあたり学生が遵守するべき事項を示すものであり、本項各号に列挙された事項を守りさえすれば常に生成AIを使ってよいとする趣旨ではない。
(1)大学におけるレポートや学位論文等の課題は、ビジネス文書とは異なり、学生本人が悪戦苦闘しながら自力で執筆する作業それ自体を通じて学生の知的能力を鍛え伸ばすことを目的として課されているものである。その点をよく自覚して、自己の知的能力向上の機会を放棄するに等しい生成AIの濫用は避け、自らの思考と工夫に基づき節度をもって生成AIを利用するよう心がけること。
(2)レポートや学位論文等の一部に、生成AIに出力させた文章(その字句や構成を多少変更したものを含む)を使用する際には、該当する部分に注を付すなどして、生成AIを利用した旨および利用した生成AIの名称・バージョン(バージョンが不明な場合は利用した日付)を明示すること。また、生成AIが出力した文章に一定の立場・見解が含まれている場合、その立場・見解と、著者(=学生)自身の立場・見解とを、レポートや学位論文等の中で明確に区別して示すこと。なお、学生本人が自力で書いた原稿を生成AIに入力して校正・推敲させた場合は、元の原稿が相当に完成度の高いものであって生成AIによる修正が軽微であるときに限り、本号にいう「生成AIに出力させた文章」にはあたらないものとする。
(3)生成AIの原理上、出力された文章には不正確な事実が含まれていることがあるので、客観的事実の内容を調べたい場合は生成AIに尋ねるのではなく、他の信頼できる資料に当たって調査すること。また、生成AIが出力した文章を吟味・検証する際には、客観的事実に反する記述が混入していないかを、信頼できる資料を用いて入念に確認すること。なお、その際に参考とした信頼できる資料は、必要に応じ注などにおいて明示すること。
(4)生成AIの原理上、出力された文章には社会に存在する偏見や差別が反映されていることがある。また、生成AIサービスの提供企業が学習データの重みづけを操作することにより、生成AIの出力内容が一定の傾向を帯びることもある。したがって、生成AIが出力した文章を吟味・検証する際には、その文章が法的・倫理的・政治的観点に照らして適切でない思想や表現を含んでいたり、中立的な立場でバランスよく記述されているように見えて実は特定の価値観に影響されたものであったりしないかを、慎重に検討すること。
(5)一部の生成AIでは、利用者により入力された文章や単語のデータがAI自身の学習に用いられる仕様になっているため、利用者がAIに対して入力した言葉は、AIによる蓄積・学習を経て、生成AIサービスの提供企業によって取得されたり別の利用者に対して出力されたりする可能性がある。したがって、生成AIを利用する際には、個人情報やプライバシーに属する情報、他人に対する名誉毀損や侮辱にあたる言葉、他人の信用を失墜させるおそれのある言葉など、第三者に伝わった場合に自己または他人の権利・法的利益が侵害される危険性のあるデータを、AIに対して入力しないよう注意すること。
(6)生成AIサービスの提供企業は、利用者のIPアドレス・位置情報・端末識別情報や、利用者がAIにアップロードしたファイルの内容等を取得し、それらのデータを利用者がアカウント作成時に入力した情報と結びつけるなどして、提供企業の事業のために使っていることがある。したがって、各サービスを利用する前に、提供企業が定める利用規約やプライバシーポリシーをしっかり確認し、その内容を理解したうえで、当該サービスを利用するかしないかを自分の責任で判断すること。
(担当教員等による指示の優先)
第4条 第1条から第3条までに規定されたいずれの点についても、学生の所属する学部・学科・研究科等や当該課題の担当教員から本規準と異なる特別な指示があった場合は、その指示に従うこと。なお、その場合、特別な指示により変更された点以外の部分については、引き続き本規準が適用される。
以 上