コラム

シリーズ"SDGs副専攻"科目紹介 第1回「日本列島の歴史と災害」

成蹊大学には、所属する学科の専門分野の学びにプラスして、学生自身の興味・関心やニーズに沿った学修を進められる副専攻制度があります。"SDGs副専攻"では、「環境・地域」、「国際理解」、「人権・共生」の3つの側面に関する科目やそれらの「実践」に関する科目をバランスよく学ぶことにより、持続可能な社会の実現に貢献するための素養を身に付けることを目指します。今回は、第1回として「日本列島の歴史と災害」について紹介します。

■担当教員
理工学部 宮下敦教授

■授業のテーマ
日本列島の歴史について、近年の地球年代学の進歩により、約6億年にわたる日本列島の形成史が明らかになりつつあります。こうした現状とSDGsの観点を踏まえ、日本列島の特徴をビジュアルで紹介し、その恩恵と表裏一体で発生する災害について考えます。

■主な授業の内容
地球科学の基礎、日本列島の地形、日本列島とプレートテクトニクス、日本列島の地震、日本列島のはじまり、日本列島をつくる付加体、日本列島と鉱山、日本海の形成、日本列島の景観など

■関連するゴール
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▽筆者の授業体験レポート
 この日は、日本列島に住む人々が地下から得てきた恵みについて歴史的に振り返ってみるという授業です。
まず、約4万年前に石器として利用されていた黒曜石の紹介から始まりました。マグマが急冷してできた火山ガラスからなる黒曜石に関する説明の際には、宮下教授が模造品を使って紙を切る様子を実演し、その有用性を実感することができました。その後、縄文人が火山のまわりでできる粘土を材料として土器を作ったことや、信仰の道具でもあった翡翠(ひすい)は海洋プレートの沈み込みで形成されたこと、等について説明を受けると、人間の暮らしが日本列島の大地の影響を大きく受けていることに気が付きます。
 次に、近世から昭和まで、石見銀山、佐渡銀山、別子銅山など、産業として地下資源を掘って使ってきた事例が紹介されました。いずれも海底火山活動や高温の地下水など日本列島が形成される過程で生まれた資源です。江戸時代初期には、世界で生産される金の2割、銀の3分の1、銅の1割が日本産だったにもかかわらず、現在は、鹿児島の菱刈鉱山だけが生き残っている状況だということに驚き、海外から資源を輸入している日本の課題が大きいことも感じました。
 授業では、金鉱石や砂鉄などの実物が用意され、菱刈鉱山の金鉱山をスケッチする時間もあり、自然の力によって生み出された複雑な美しさを観察することができました。

■宮下教授からのコメント
ふだん意識することは少ないかもしれませんが、日本列島に住んでいる限り、日本列島の大地や自然環境の影響を受けて生活していくことになります。この科目が、日本に住む人として、日本列島の自然に目を向けてもらうきっかけとなれば幸いです。

(サステナビリティ教育研究センター事務局 平林)