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気象

連続猛暑となった2023年と2024年

近年、夏の暑さがますます厳しくなっていると感じる方も多いのではないでしょうか。図1は、2008年以降の全国の熱中症搬送者数を示したグラフです。年による若干の増減はあるものの、全体的に増加傾向が見られ、とくに2024年には搬送者数が10万人近くに達し、過去最高を記録しました。また、搬送者の半数以上を65歳以上の高齢者が占めています。

 

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図1 全国の熱中症搬送者数の推移 
出典:総務省のデータをもとに作図

 

熱中症の主な原因は、高温だけでなく湿度の高さや日射の影響も大きいとされています。成蹊気象観測所の観測データをもとに、1926年から2024年までの猛暑日と熱帯夜の日数の変動を示したのが図2です。猛暑日とは最高気温が35℃以上の日、熱帯夜は夜間~明け方の最低気温が25℃以上の日を指します。これらはいずれも長期的に増加傾向にあり、とくに2000年以降、猛暑日の増加が顕著です。2023年は熱帯夜日数が過去最高を記録し、2024年は猛暑日日数が過去最高となりました。

 

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図2 成蹊気象観測所の猛暑日と
熱帯夜日数の長期変動

 

猛暑日や熱帯夜が増加していることは、夏の平均気温が高くなっていることを示しています。この現象が日本だけでなく世界的にも起きているのかを検証するため、19世紀末から現在までの日本と世界の7月平均気温の変動をグラフ化しました(図3)。気温は平年値(19912020年平均)との差で表されています。

 

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図3 日本と世界の7月平均気温偏差の長期変動

 

日本の平均気温の年々の変動が大きく見えるのは、使用した観測点数が15地点(都市化の影響を受けにくい地点)のみに限られているためです。一方、世界平均気温は全世界で等間隔の格子点データを用いて算出されており、観測データの密度が高いのが特徴です。それでも、日本も世界も7月の気温は共に上昇傾向にあり、特に2023年と2024年は世界平均気温も2年連続で過去最高を記録しました。

このように夏の気温が2年連続で過去最高を記録した原因は、現時点では十分に解明されていませんが、地球規模の気候変動要因と関連している可能性が高いと考えられます。

 

(文責:三上岳彦)