法学部の学び 少人数教育のゼミから 歴史と外交戦略

日本を軸として外交史を学び、
歴史的視点で現代政治を考える

閑野 祐介 さん

政治学科 2018年3月卒業 |
私立攻玉社高等学校 出身

ゼミ(演習)では、外交戦略に関する専門書を輪読します。二人一組で担当する各章について、一人が内容を要約し、別の一人が論点を整理して学生同士で議論します。井上先生は、学生の発言に含まれる事実の誤りを指摘したり、議論の流れを整理したりするほか、自身の考えを述べて議論に参加することもあり、ゼミはときに政策論争の場ともなります。ゼミの大きなテーマは、日本外交の歴史を振り返り、日本の周辺で現在起きている領土問題や安全保障問題に関する理解を深めることです。入学当初は、中国政治について学ぼうと考えていましたが、政治学科の授業で日中関係を学び、内政の延長として外交政策を考えることや、日中関係を両国から見ることに興味が湧きました。さらに歴史的視点から検証することで、目の前で起こっている出来事の背景を深く知ることができ、現在の政治を重層的に理解できるようになりました。実際ゼミに入る前に比べ、各段に知識量も増えました。卒業論文では、改めて中国の国内に視点を移し、軍事に焦点を当てました。週に一度は先生の研究室を訪ね、自身で選んだ参考資料や論の立て方について相談し、アドバイスをもらいました。また、ゼミ仲間からの助言も後押しとなり、最後まで書き上げることができました。

教員メッセージ

井上 正也 教授

ゼミでは、外交を中心に現代政治を歴史的な視点で考えます。目の前の事象や政局にとらわれず、この国の周辺で起きている領土問題や安全保障問題を大局的に判断するため、国際政治や外交史の名著を読み、国のあり方や外交政策が決まるメカニズムを学習します。また、内容を的確に要約して簡潔に発言する論理的な思考力も養います。ゼミでの議論は活発に行われ、学生同士が自説を戦わせています。私は知識の補足が必要な場合のみ発言しますが、時には論戦を挑んでくる学生もいて、しばしば学生と教員との議論に発展します。緊張感のある対話を繰り返すことで、学生の思考や発言も論理的になり深みが増していきます。

法学部教授。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。専門は日本政治外交史。2017年より現職。著書に『日中国交正常化の政治史』(サントリー学芸賞、吉田茂賞受賞)など。