学問をひもとく PICK UP! 研究

学問をひもとく PICK UP! 研究

内田 雄貴 准教授

経済学とは「人間の行動について分析」

日本の財政状況と高齢化には密接な関係がある?
理論やデータからさまざまな現象を分析し、物事の背景にある構造を解き明かします。

高齢化と経済の密接な関わり

教育は経済成長にとって重要だと言われていますが、現在、日本の財政状況は年金支出が増える一方で、教育支出は伸び悩んでいます。その裏には、高齢化に伴って高齢世代の意向が国の政策に反映されやすくなっている、という事情が考えられるのではないでしょうか。民主主義の下では、どの世代の有権者がどれだけ政治に参加するかに応じて、国の政策や経済状況は変わってくるのです。高齢化と国の経済成長の関係を政治経済学の観点から分析することが、私の研究テーマです。若年世代と高齢世代、あるいは低所得層と高所得層というように、投票に基づく政策決定の背景には何らかの利害対立があり、政治ではそれらの折衷案が選択されているものです。政治と経済は別々に教えられることが多いですが、それらが実は関わり合っていることを知ってほしいと思います。

OECD加盟国における、高齢化と公的部門の年金支出の関係

幅広く応用できる経済学の分析手法

経済学では、世界の仕組みについて仮説を立て、理論モデルを組み、それが現実的に妥当かを検証していきます。当初予期していなかったような意外な結果が出ることもあり、それもまた一つの面白さです。雇用問題、所得格差問題、経済成長といった社会問題や経済現象を理解するためには、まずは社会を構成する私たち一人ひとりの行動について知る必要があります。経済学はいわば「人間の行動について分析する学問」です。経済学の分析手法を身につけると、経済現象に限らず、政治と経済の関係性や、さらにもっと幅広い現象についても分析することができるようになります。ものの見方が養われ、視野が広がるのではないでしょうか。

内田 雄貴 准教授

大阪大学大学院経済学研究科博士課程修了。学部生の時に日本の財政問題の分析手法を学ぶ授業を受講し、感銘を受けたことから現在の研究に。学生に培ってほしいのは、知識を相手に正しく簡潔に伝える力。

研究分野
マクロ経済学、公共経済学、政治経済学