学びのこみち

経済学部

FACULTY OF ECONOMICS

ANIMATION MOVIE

グリーンツーリズムで
地域の生業づくり

経済学部 グリーンツーリズムで地域の生業づくり

グリーンツーリズムで地域の生業づくり

「グリーンツーリズム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。グリーンツーリズムは、都会から離れた農村部で、農作業体験やその地域の食材を食べながらゆったりと過ごす余暇活動を指し、自然や地域と共生する観光スタイルとして、近年注目されています。その成立背景や利点、課題についてアニメーションで解説します。

MOVIE

動画

ABOUT STUDY

大学での学び

-テキストバージョン-

01

グリーンツーリズムとは?

都会の喧騒から離れた農村部で、農業体験や収穫体験をして、その地域の作物を食べながら滞在する…このような余暇活動を「グリーンツーリズム」と言います。

GREEN TOURISM

農業体験

収穫体験

地産地消の食事

02

グリーンツーリズムの成立背景①

1980年代後半、日本ではバブル経済が始まり、国内は空前の好景気に沸き立ちました。また、同時期には総合保養地域整備法、通称リゾート法が成立。このリゾート法は地方にリゾートホテルやゴルフ場、スキー場、マリーナなどのリゾート施設を建設し、地域振興を目指すことを目的としていました。自治体が構想を打ち立て、バブル経済で潤った企業や投資家が開発に参加した結果、全国の海浜地域や山岳地域にリゾート施設がつくられることになりました。

このリゾート開発では2つの問題点が指摘されています。1つ目は開発による環境破壊、2つ目は地域を置き去りにした開発です。また、バブル経済がはじけた後、こうしたリゾートの多くは経営が立ち行かなくなるともに、自治体の財政にも悪影響を与えました。

バブル経済以前

リゾート地へ変化

バブル経済崩壊後

03

グリーンツーリズムの成立背景②

こうした反省から、1992年に農林水産省がグリーンツーリズムを提唱。1994年には農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律が制定され、グリーンツーリズムへの注目が高まりました。

成蹊大学 経済学部の小田宏信教授は、グリーンツーリズム流行の要因について「一つには農産物流通のグローバル化が進む中、競争条件が不利となった農業地域で、農業生産以外の多様な価値や機能を発見し、それを評価しようという傾向が出てきたということ。二つ目には、消費者の側の要因として、ゆっくりと滞在して過ごすという余暇の過ごし方が求められるようになり、その際にパッケージ化されたマス・ツーリズムに対して、個人の嗜好に応じて差別化された観光が求められるようになったということが考えられます。インターネットの普及で旅行代理店に頼らなくとも個人が各地の情報を集めて旅行を企画しやすくなったということも追い風になりました。」と語ります。

受け入れる地域にとって、グリーンツーリズムは地域住民・事業者の活性化、地域内での相互交流と様々な資源融合を通じて持続可能な地域経済社会を描くことにつながっています。また、ツーリストにとっては、マニュアル化された「おもてなし」ではなく、農村の人たちの温かさに触れることができる点が利点といえます。特に子ども達には食育を始め、様々な学びの場になり得ることも期待されています。

法律の整備

農業生産以外の多様な価値観や機能

個人の嗜好に応じた旅行企画

地域内での交流と学びの場としての機能

04

グリーンツーリズムの例

グリーンツーリズムが活発な地域として、北海道十勝地方が挙げられます。食料自給率1200%を誇る北海道十勝地方では、「フードバレーとかち」という合言葉の元、様々な取り組みがなされています。日本の食と農を考える上で最適なこの場所では、酪農体験や地産地消のレストラン、農場ピクニックなど、特徴的な取り組みが多く行われており、グリーンツーリズムの行先として人気が高まってきています。

体験にきた観光客

酪農体験

地産地消

05

グリーンツーリズムの例

一方、グリーンツーリズムを受け入れたいとは思っているものの、課題を抱える農家や牧場もあります。例えば、「受け入れ後の交流が希薄」という課題。これに対する解決策として、「その農場や牧場で収穫できる作物や資源を利用して新しい商品を作り、それを体験者の身近なところで販売する。これにより、つながりを維持し、その地域の産物の消費もできる。そして、生産者の第六次産業化の支援にもつながる」というアイデアが考えられます。

課題を抱える農家

六次産業の例

06

成蹊大学での学び

この解決策は、実際に成蹊大学の学生が現地の生産者の方々から現状と課題をヒアリングして、現地の生産者に提案したものです。成蹊大学経済学部現代経済学科では、グリーンツーリズムや第六次産業化の事情に詳しい実務家を講師として招き、現地で活躍する農家など多くのゲストを迎えて、本物に触れる学びを行っています。

現地で活躍している人たちのお話しを聞いて、あなたなら、どんな意義を感じて、どんな課題を発見するでしょうか。そして、どんな解決策を見出すでしょうか?

成蹊大学での学び

大学での講義からの解決策の提案

大学での講義からの解決策の提案

経済学部長 小田宏信
経済学部長 小田宏信

グリーンツーリズムで地域を構想する

本授業は吉祥寺と北海道・十勝とを結んだプロジェクト型授業です。帯広市を中心とする十勝地方は、食料自給率1200%とも言われ、日本でも有数の農畜産業が発達し、活力のみなぎった地域です。本授業では、「いただきますカンパニー」(帯広市)の井田芙美子代表を非常勤講師に迎えるとともに、現地で活躍するさまざま方々をゲストにお迎えし、十勝地方の地域経済の現状を学んで、六次産業化やグリーンツーリズムを通じた地域活性化の方策を考えています。

また、本授業での取り組みは十勝毎日新聞にも取り上げられました。酪農家や農場からの実況中継も行われていることから、記事では、コロナ禍を逆手にとって、距離の壁を克服したオンライン・フィールドワークの授業を展開していることを大きく報じています。

記事はこちらからご覧いただけます。(会員限定・有料)

皆さんも一緒に、六次産業化やグリーンツーリズムを通じた地域活性化について考えてみませんか?

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成蹊大学経済学部にはご紹介した学びの他にもさまざまなテーマに取り組む少人数のゼミがあり、教員と学生が近い距離の中で日々の学びに取り組んでいます。

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