学問をひもとく PICK UP! 研究

学問をひもとく PICK UP! 研究

山上 浩明 教授

経済学というレンズを通して環境問題を見る

掃除ロボットのおかげで自由時間が増えると電気使用量も増える?
新しい技術と環境問題の関係を、データを使って探ります。

時短家電によって電気消費量はどう変わるか

ある家で掃除ロボットを買ったとします。これまで掃除にかかっていた時間が大幅に短くなりますね。すると人は余った時間で、電気を使う何か別の活動をするようになります。このとき、時短家電製品自体が使う電力以上の電力需要が発生します。時短家電の導入で、人の行動がどう変化し、その結果電力需要がどれくらい増えるのかを計測するのが私の行っている研究の一例です。電気はためておけないので、電力需要に合わせた無駄のない供給体制が求められます。この研究は、正確な需要の予測を可能にすると思われ、供給の無駄をなくす点で、環境対策にもつながるでしょう。

地域と連携してゴミの減量に挑戦

経済を可視化する手法には、大きく分けて、理論モデルをつくるか、データを扱う実証モデルをつくるかの二つがあります。経済数理学科ではこれらの分析手法について、非常に深く学べるところです。私のゼミでは、以前、武蔵野市役所と課題を共有して家庭ゴミを減らす手立てを考えました。学生たちは、各地域のゴミの量や地域の特性、意識調査などから独自のデータベースを作成しました。それを用いて実証モデル分析から、「なぜゴミが出るのか」を明らかにしつつ、独自の答えを導き出しました。地域と課題を共有ながら、その対策について検討することができた実践的な取り組みでしたね。
経済学を学ぶと、こうした身近なことから世界的な問題まで、幅広い事象にアプローチが可能です。皆さんも分析手法を身につけて、ぜひ、自分の興味のあることに関する経済学的な考察を、試してみてほしいと思います。

ゼミで行った調査・分析の結果を武蔵野市の担当者と議論

山上 浩明 教授

Ph.D.(経済学)パリ第1大学。小学生の時、授業でゴミだらけの水辺の写真を見て、解決策がはっきりしている環境問題がなぜ解決されないのか疑問に思う。大学進学をきっかけに、経済学の分析手法を使いながら、環境問題の解決に向けて研究している。

研究分野
環境経済学、公共経済学