学科・大学院
講義では数学などの基礎学問から系統的に理論を学んでゆきます。しかし、例えば自動車設計などの実問題では様々な現象が複雑に絡み合った「システム」となっており、細分化された学問を身につけるだけでは問題解決能力を養うことはできません。
そこで有効なのが、実際に直面する問題に試行錯誤しながら取り組む「プロジェクト型科目」です。これは"Project-based learning"または"Problem-based learning" (PBL)と呼ばれる授業形態の一つで、その高い教育効果から近年多くの高等教育機関で取り入れられています。当学科ではプロジェクト型科目を各学年に配置します。各科目は共通して次のような特徴があります。
実社会では多くの場合、組織として問題に取り組みます。そのため、優れた結果を出すにはあなた一人だけが頑張っても限界があります。プロジェクト型科目では、学生がチームを組んで与えられた課題を解決してゆきます。その中で、リーダーシップ、コミュニケーション能力、調整能力を身につけます。
講義では「理論を理解しているか」で成績を評価しますが、それ以外の能力も実際に問題解決する上では非常に重要になります。プロジェクト型科目では、こういった観点で多角的に成績を評価します。
成蹊大学のキャンパスがある吉祥寺は、大規模な商業施設、昔ながらの商店街に公園や住宅街が近接する大変魅力のある街です。しかし、そんな吉祥寺も様々な問題を抱えています。「吉祥寺プロジェクト」では大学・行政(武蔵野市役所)・地域コミュニティが連携し、学生たちが吉祥寺の街の問題に取り組みます。
初めてのプロジェクトとして、吉祥寺東町の通過交通問題に取り組みました。閑静な住宅街の狭い道になぜ数多くの自動車が通り抜けるような状況になるのか?その原因を探るため広域交通実態調査を行い、どの程度の自動車がどこから来てどこに行くのか、どのくらいの速度で通り抜けているのかを定量的に明らかにしました。その調査結果に基づき、速度や交通量を抑制する装置や政策を考案。成果発表会では行政や地域のみなさまにもお越しいただき、学生と議論を交わしました。
知的障害を有する人々の就労支援を行う福祉作業施設において、作業の効率向上を目的とした研究を行いました。企業の販促物であるダイレクトメールの封入や贈答品の箱詰めなどの作業の様子を動画で撮影し、工学的手法を用いて作業の流れや動作を分析。作業の流れを滞らせる原因を割り出し、間違いを減らすのに役立つ治具や、連携をスムーズにして作業の負担を偏らせない作業机の形など様々なアイディアを考案し、福祉作業所へ提案を行いました。
大学施設を災害時の避難所と仮定し、障がいを有する人の緊急避難所としての機能についてバイアフリーの観点で調査・検証を行いました。まずは東日本大震災の被災者に対する実態調査から避難者受入れに求められる機能や設備を調査。受付・居住・トイレ・移動経路の4つの機能について障がいの種類別にチェックリストを作成し、それに基づき現状を確認。各階および各教室の避難所としての適性を導き出し、点字ブロックや音声誘導などの将来導入を検討すべき点も指摘しました。