成蹊大学理工学部では、物質生命理工学科は中学校・高校の理科、高校の工業、情報科学科では、中学校・高校の数学と高校の情報科、システムデザイン学科では、中学校・高校の数学と高校の工業、それぞれ3種類の教員免許が取れる体制を取っています。
※2011年度取材
今井 謙太郎さん
情報科学科2009年卒業
渋谷区立本町中学校勤務
担当教科:数学
神奈川県立新城高等学校出身
田中 恵美さん
物質生命理工学科2011年卒業
横浜市立中和田中学校勤務
担当教科:理科
神奈川県立横浜平沼高等学校出身
澤田 夕貴さん
物質生命理工学科3年
教職課程履修
さいたま市立浦和高等学校出身
木内 剛教授
担当科目:教職課程
(教育原論、教育方法研究等)
専門分野:教育学
※2017年3月退職
藤原 均教授
担当科目:理工学部共通基礎
(解析、応用数学等)
地球惑星科学研究室
専門分野:地球惑星超高層物理学
藤原教授 では、まず皆さんが成蹊大学の理工学部を選んだ理由と、教職課程を履修しようと思った動機を教えてください。
今井さん 大学で特にこれがやりたかったというものはありませんでした。もともと文系の科目が苦手だったということもあるので、理系の科目で受験できるところを探した中で、成蹊大学が場所や環境が一番よかったというのが正直なところです。教職課程を履修したのも、強い動機があったわけではなく、後々つぶしがきくのでは…という理由です。本気で教員になろうと思ったのは、4年次に教育実習に行って、自分がやりたいのはこれかなという手応えを感じてからです。そこからは「教員になろう」という気持ちで一直線でした。
田中さん 私の場合は、まず先生になりたいと思ったことが先でした。進路相談で、教育学部でなく理系の大学へ進学しても中学校の理科の先生になれると知り、好きな理系への進学を目指しました。成蹊大学理工学部を選んだのは、入学時点で専門分野を選択しなくてもよかったのが大きな理由です。1年次より理工学の基礎を幅広く学びながら、並行して教職課程の科目を履修し、3年次から環境系に進むのか、バイオ系、ナノ系なのかゆっくり考えることができました。興味がわいた環境エネルギー系の研究室を選ぶことができて大変満足しています。
澤田さん 私も田中さんと同じ物質生命理工学科ですが、高校時代は化学の道に進みたいと考えていました。受験校を決める時に、進路を化学だけに絞ってしまったら、後で自分の興味と合わなかった時につまらなくなってしまうと思い、物理・化学・生物と幅広く学べるこの学科を選びました。教職課程の履修については、入学してすぐ各授業科目の詳しい内容が綴られたシラバスが配られて、その中に教職課程の授業も載っていたことが、きっかけとなりました。理工学部は時間割が詰まっていて忙しいと聞いていたのですが、教員免許が取れるのなら一緒に履修してしまおうと考えました。
藤原教授 澤田さんからもお話が出ましたが、理工学部は研究などで忙しいと言われる中で、成蹊大学の理工学部で教職課程を履修してよかったと思うことは?
今井さん 成蹊大学はワンキャンパスの総合大学である、ということが一番大きかったと思います。教職の授業では他学部の学生と授業を受ける機会が多く、ディベートなどを通して文系の人と交流できたことで、理系だけのキャンパスで過ごすより見識が広くなったように思います。
田中さん 3年次に教員採用試験の勉強を始めましたが、教職課程指導室が開催する勉強会には、随分お世話になりました。特に論文試験のための指導では、何度も添削していただきました。2次試験の面接対策や模擬授業の試験対策まで大学でやってもらえたんですよ。予備校に行かずに教員採用試験に合格することができたのは、この勉強会によるところが大きかったですね。
澤田さん 私は、ちょうど研究室に配属になったばかりですが、研究室には教職課程を取っている4年次の先輩がいますので、お手本になっていますし励みにもなっています。
木内教授 4年次は教育実習と卒業研究とで、大変でしたか?
田中さん 私のいた研究室は、地球温暖化の対策としてオーストラリアで植林を行うプロジェクトを続けています。大きなプロジェクトにほんの少しでも参加させてもらって、オーストラリアへの現地調査にも行くことができました。その土壌サンプルの分析を私自身の研究テーマとしたので、教育実習や教員採用試験と大量のサンプル分析とのスケジュール調整が大変でした。でも、試験が近付いてきたら「今は研究よりも、勉強しなさい」と先生の理解があって助かりました。
今井さん 理解があると言えば、私の場合は、教員を目指そうと本気になったのが4年次からと遅かったので、大学院へ進学して試験準備をすることにしました。大学院の推薦面接では、「教員試験に合格したら大学院を退学させてもらいます」とはっきり気持ちを伝えましたが、先生方も快く了承してくださいました。教職課程を本気で推進している大学ならではのことだと思います。
藤原教授 理工学部出身の先生として、強みを感じるのはどんな時ですか?
田中さん まだ教員になって1年目ですが、赴任した中学では3年生を担当することになりました。自己紹介の際に、大学時代は環境系の勉強をしていたという話から始め、卒業研究でオーストラリアへフィールドワークに行ったことなどを、写真を交えながら話したところ、生徒たちの興味を惹くことができました。大学時代の経験はやはり自信になっていますし、教師として理科の本質を伝えていけたらと思います。
今井さん 私は大学院の時、国内で1回、海外で1回、学会発表を経験しました。専門分野の研究を行ったこと、それを学会でプレゼンテーションしたこと、このどちらも教員として生徒の前に立つことへの自信になったと感じています。
田中さん 大学時代の友人たちは、企業に就職したり、もっと勉強がしたいと大学院に進学したり、それぞれの道で頑張っている人ばかりです。教員になっても社会とつながるパイプをたくさん持っていられるのも教育学部との違いだと思います。さまざまな目標を持つ友人たちと切磋琢磨したことで、広い視野を得ることができました。
澤田さん 私も先輩方と同じ意見ですが、やはり教育学部で教育のみを学ぶのではなくて、理工学部で自分の学びたい分野を見出し、専門的に学べるところがよいと思っています。その中で、教職課程を取らない方や他学部の方とも関われるわけですし、「教育」だけでなく自慢できる何かを持って卒業したいですね。
木内教授 最後にどのような先生を目指しているのか、抱負をお聞かせください。
今井さん まず、先生としてというより社会人として、時間や言葉づかいなどちゃんとしていたいと考えています。特に教師の言葉づかいは生徒が真似しますから、オン・オフを切り替えて接するようにしています。
澤田さん やはり、挨拶が大切だと考えています。そこから生徒とのコミュニケーションや学問の面白さというものを伝えていければいいなと思っています。
田中さん 授業に実験をたくさん取り入れていきたいと思っています。授業にしても実験にしても、こちらが力をつけていかないと生徒はついてこないので、分かりにくい単元は少し噛み砕いて分かりやすく説明するように心掛けています。実験を通して理科を好きになり、理系の道に進む生徒が増えてくれたら嬉しいですね。
理工学部 | 教職課程履修者数 | ||
---|---|---|---|
2年次 | 3年次 | 4年次 | |
2017年度 | 29名 | 27名 | 19名 |
2018年度 | 23名 | 23名 | 24名 |
2019年度 | 27名 | 18名 | 21名 |
理工学部 | 教員免許取得者数 |
---|---|
2017年度 | 19名 |
2018年度 | 23名 |
2019年度 | 21名 |
成蹊大学には、常設の教職課程センターがあり、教職課程を履修する学生に対する指導・助言を行っています。
ここでは、教育学、心理学、教育実習などの教職課程科目や教員採用試験に関する図書、雑誌や先輩の実習授業案などが閲覧でき、自習室としても利用できます。そのほかにも、TVビデオセット、OHP、中学・高校の授業用教具等が備えてあり、実習前のさまざまな準備を行うことができます。
また、専従のスタッフが、教職に関するさまざまな質問に応じたり、教員あるいは卒業生との懇談の機会をコーディネートしています。随時利用してください。
教職課程センター
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