理工学部の学び 少人数教育の研究室から ヒューマンファクター研究室

車線変更が苦手なドライバーの
運転を支援するシステムの開発
テクノロジーを駆使しながら
人間の特性を第一に考えたシステム開発

ヒューマンファクター研究室 理工学部 システムデザイン学科
2017年3月卒業(2017年度公開時)
稲野 由美子さん

車線変更が苦手なドライバーの
運転を支援するシステムの開発

システムデザイン学科でハードウェアとソフトウェアの両面を学ぶうち、テクノロジーの進歩に人間が追い付いていないと感じ、人を基点に考えるシステムをこの研究室で学ぼうと考えました。そして、自動車運転の技術が十分でない人を支援するシステム開発に取り組みました。テーマは車線変更です。協力いただいた自動車教習所の教官に街路を運転してもらい、目の動きや動作を計測。そのデータから模範運転をモデル化して組み込んだドライビングシミュレータで、車線変更が苦手な人の運転と比較しました。地道な比較評価から始めるシステム開発に取り組み、社会に広く普及させるものづくりには、特定の技術に偏らない多面的なアプローチが欠かせないことを理解しました。

ヒューマンファクター研究室 理工学部システムデザイン学科 竹本 雅憲 准教授

不安定な運転を補うシステムで自動車事故ゼロを目指す

ヒューマンファクターズとは使いやすさを追求する人間工学に近い分野で、人間の知覚・判断・行動の流れに重きを置き、データ化できない部分も考慮しながらシステムとのバランスを安全と快適の両側面から現実的に考える学問です。研究室でもそうした人間の特性を、実車の運転やドライビングシミュレータで計測し評価することから始めます。これにより、安定した運転と不安定な運転をモデル化し、運転の安全性を損なう行動を補正する運転支援システムを構築します。このシステムは運転教習における教育方法の改善にも寄与し、自動車事故をゼロにする住みよい社会づくりに貢献することを開発の目的としています。

根底にあるのは人間を思いやる技術

人間の特性を第一に考えたシステムづくりは、様々な分野で応用できます。研究室でもヒューマンファクターズの手法を用いて、スマートフォン・アプリの使いやすさを評価しています。また、スポーツの指導にも活用でき、野球の打撃における熟練者と初心者を比較し、好打者の目の動きやタイミングの取り方を教えるシステムは、学生のアイデアによるものです。この研究の根底にあるのは、人間への関心。人を思いやれるエンジニアになってくれることを望みますが、ものづくりに限らずどのような仕事でも、相手の考えや気持ちを想像して自分から動く姿勢が不可欠だと思っています。