私は5歳の頃から親しんでいる将棋と、データサイエンスを組み合わせた研究がしたいと考えていました。将棋の中でも特に成り駒に注目していて、プロの対局棋譜を基に、先行研究と比較しながら、最適な一般化線形モデルをつくっています。相手の陣地に入ると駒を裏返すことができて、強くなるのが成り駒。その種類や組み合わせによって勝率が変化するのではないかと思い、プロの対局結果を集めて調べています。統計学は「データ」さえあれば何でも研究材料にできる学問なので、例えば歌が好きな人なら歌詞を題材にして、災害のときには明るい歌詞が使われる、などの傾向を研究することもできるでしょう。自分が興味のあるものを材料にすると、難しく感じる学問も取り組みやすくなります。統計学の魅力は、予測が当たったら楽しいこと。統計学はますます注目されてきているので、今後社会でも大いに活躍できる分野だと思います。
慶應義塾大学大学院基礎理工学専攻数理科学専修修了。統計数理研究所特任研究員・助教、福井大学電気電子工学科講師を経て現職。主に生物統計、医療統計の分野で、データサイエンスを応用して社会貢献できるような研究を続けている。
自然現象の背後には必ず規則性が内在し、身近なデータにも小さな規則性が隠れています。その規則性を数学、統計科学、情報幾何学を駆使して見つけることがデータサイエンスの目的です。まだ誰にも知られていない小さな規則性を探してみませんか?