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【開催報告】成蹊気象観測100周年記念講演会「100年の空を見つめて~成蹊の気象観測が語る地球の変化~」

成蹊学園では、1926年1月1日に正式に気象観測を開始してから、間もなく100年を迎えます。
これを記念した講演会を、2025年11月8日(土)に成蹊学園本館大講堂にて開催しました。
講演会の講師には、気象キャスターとしてテレビ番組に多数ご出演されている、気象予報士の森田正光さんをお招きしたこともあり、定員の500名を超える参加申し込みをいただきました。

講演会は、まず気象観測所所長の三上岳彦から、成蹊気象観測の100年について報告しました。
参加申し込みの際にいただいたご質問をもとに、成蹊の気象観測の始まりやその後の歴史、気象観測露場での観測の様子、都心と成蹊の気温変化の比較、成蹊ならではの視程観測や100年近く続く桜の開花記録、洗面器を利用した冬季の氷の厚さの観測などについてお伝えしました。
100年前から残る紙にペンで記録された気象観測データを、地震計の波形解析を応用してデジタル化する研究についてもお話しました。この研究は、講演会の司会を務めた成蹊大学経済学部教授の財城真寿美が進めているものです。

続いては森田さんのご講演。講演の冒頭では、自己紹介として、将棋ファンの森田さんが棋士の藤井聡太さんの対局を間近でご覧になられている様子などをご紹介いただきました。
また、新1000円札の裏面に描かれた葛飾北斎の浮世絵の富士山の上の部分に、積乱雲が隠れていることを森田さんが特定されたこともご紹介いただきました。
森田さんからの一番大きなメッセージは、「地球温暖化は止められる」ということ。南極のオゾンホールが回復傾向に転じたり、日本の高度成長期にはとてもひどかった大気汚染が劇的に改善したことなどを例に、全員がひとつの方向を目指して社会の仕組みを変えてゆけば、地球温暖化も止めることができる、だからそれを目指そうという内容でした。
本館大講堂の舞台上を所狭しと動き回り、笑いを取りながら進める森田さんのお話に会場の全員が引き込まれて、会場はとても良い雰囲気となりました。

講演会の最後は、質疑応答の時間。会場からは、成蹊高校3年生2名からの質問もありました。
講演終了後に回答をお願いしたアンケートには、たくさんの感想をお送りいただきました。そのいくつかをご紹介します。
「観測無くして予報無し、その通りだと思います。大変なこともあると思いますが継続を期待しております。」
「観察の大切さ、よくわかりました。温暖化は止められると信じたくなりました。」
「森田正光さんの講演は、さほど気象について興味を持っていなかった私でも、大変引き込まれるものでした。日常生活の中で自分の周りの気候変化を感じ取ること、それを続けていくこと=観測の面白さ、意義深さを知ることが出来ました。」

講演会終了後には、ご参加いただいた皆様と、森田さんとの交流もありました。
講演会会場の入り口近くには、11月21日(金)から成蹊学園史料館で約1年間開催する企画展に展示予定のポスターを10枚並べ、副所長の田中博春がご来場の方々からのご質問にお答えしました。ポスター横に設置した大型モニターには、成蹊気象観測100年を記念して作成した紹介動画を流しました。この動画は、講演会が始まる前の時間帯に会場のスクリーンにも投映し、早めに会場にお越しいただいた皆様にもご覧いただきました。

講演会が始まる前、森田さんに成蹊気象観測所の露場や観測室、成蹊の桜標本木などを見学していただきました。
来年の春には、学外の皆様も対象とした気象観測所の見学ツアーと小規模な講演会を複数回予定しています。詳細が決まり次第、成蹊気象観測所ウェブページなどでお知らせする予定です。
今後の成蹊気象観測所のイベントについても、どうぞご期待ください。