文学部の学び 少人数教育のゼミから デジタルメディアと
社会的活動・現象の関係

デジタルメディアの影響を通してリアルな社会を考える

福丸 花 さん

現代社会学科4年(2018年度公開時) |
東京都立武蔵高等学校 出身

コンピュータやスマートフォン、ウェブサイトやSNSなどの普及により、マスメディアを介さずとも社会に発信できる手段と技術を、誰もが手に入れました。ゼミ(演習)では、そうしたデジタルメディアによるコミュニケーションと社会的な活動や現象の関係を追究します。例えばハロウィーンの夜に渋谷で起こる非日常的な賑わいについて、背景にあるインターネット上での情報拡散に焦点を当てるなど、デジタルメディアが及ぼす影響を通してリアルな社会を考察します。3年次前期に若者論、消費社会論、ネット炎上など現代社会を論じた文献を読み、その枠組みで興味のあるテーマを社会学的に見るアプローチを学びました。ゼミ合宿ではスマートフォンだけを使って動画をつくり、マスメディアを介さずコンテンツを制作・配信できることを経験。そして、後期は表現規制の是非などをテーマにしたディベートとディスカッションを繰り返しました。理論と実践を行き来し、個人の研究と議論を通した協働学修で、テーマを掘り下げる技術と多角的視点を体感的に養い、卒業論文は、ユーチューバー(YouTuber)が社会で受け入れられる背景を題材に取り組んでいます。一過性の現象に目を奪われず様々な根拠から社会的要因を探り、興味がない人にもインターネット動画に関心を寄せてもらえるような論文にしたいと思っています。

教員メッセージ

伊藤 昌亮 教授

デジタルメディアが普及し、マスメディアと個人の情報発信の境界が希薄になりつつあります。子どもの頃からデジタル機器やネットワークに触れて育った今の学生は、活字メディアと映像メディアを区別する意識もなく、デジタルメディアを社会に当然あるべきコミュニケーションの環境として捉えています。ゼミではそうした現代社会のあり方を、学生にとって身近なデジタルメディアを通して社会学の枠組みで考えます。デジタル機器を使った経験が豊富な学生のユニークな着眼点を、ICTの技術論ではなく、社会学的な考察に結び付けることが重要です。そのため社会学的な思考の過程を文献講読で学び、並行してデジタルメディアの活用を実際に体験することにより、理論を実践で体感しながら現代社会のコミュニケーションを考えます。

文学部教授。専門分野はデジタルメディア論、社会運動論。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。著書に『フラッシュモブズ―儀礼と運動の交わるところ』『デモのメディア論―社会運動社会のゆくえ』など。