スペシャル・レクチャーズ

文学部スペシャル・レクチャーズ

文学部では、2020年度より「日本語教員養成コース」と「芸術文化行政コース」を開設します。
学科横断型のこの2つのコースの新設を記念して、文学部スペシャル・レクチャーズを開催しました。
たくさんの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。各回の実施レポートを以下にてご覧いただけます。

レクチャーレポート

2019年11月6日/13日

日本語教員養成コース主催ワークショップ「やさしい日本語でコミュニケーションしよう!」が開催されました

日本語教員養成コースでは、成蹊学園の中学生の皆さんを対象としたワークショップを開催しました。第1回は日本語教育について簡単に学び、外国人と日本語でコミュニケーションする方法を一緒に考えました。第2回では成蹊大学留学生と武蔵野市在住の外国の方に参加していただき、実際に日本語でコミュニケーションをしました。

参加者は中学生15名(女子12名、男子3名)、成蹊大学留学生3名(オーストラリア、イタリア、ポーランド)、武蔵野市在住4名(ペルー、台湾、コロンビア、エクアドル)、ファシリテーター日本語教員養成課程の大学生2名。

このワークショプは、「英語ができないと外国人と話せない。私は英語が苦手だから外国人とは話させない」と思い込んでいる学生たちに、是非外国人と関わってもらいたくて考えたものです。

第1回は、日本語教育について簡単に学んだ後、日本語教員の勉強をしている大学生2名をファシリテーターとして、グループに分かれて日本語を学んで6カ月ぐらいの外国人に日本語で自分たちが見た映像を説明するという活動をしました。グループで説明文を書いた後に実際に6カ月日本語を学習した外国人が同じ活動で書いた文をみんなで読みました。そして、どのような日本語ならばより理解してもらえるか考えました。第1回の宿題では授業でしたこととそれから学んだこと、そして感想を書いてもらいました。

宿題を読むと次のような気づきがあったことがわかりました。
・日本語の助詞、カタカナ、助数詞が苦手だとわかった。
・日本人は簡単だと思っていても、伝わらないことが多い。
・日本人が普段話している日本語は難しい。
・様々な国の人々は違う考え方、見方をする。世界には色々な人がいる。
・外国の人たちが私たちと同じビデオを見ても感じ方が違う。
・漢字やひらがな、カタカナの混じる日本語は難しい。
・コミュニケーションは理解してもらう、理解するという意思を共有する手段なので、日本だから日本人だから日本語で話すというのはおかしく、様々な表現で相手に伝えようとすることが大切なのだとわかった。

第2回では、実際に日本語を母語としない方たちと活動をしました。映像だけ変えて第1回と同じ活動をしました。この活動では中学生が映像を見て、外国の方に説明し、外国の方は聞いたことを黒板に書きました。日本語の間違いなどは中学生が直しました。その後、3つのグループに分かれて伝言ゲームをしました。今回の活動でも中学生のみなさんはさらにいろいろなことに気づきました。

・接続詞、漢字は難しい。
・じぶんがあまり日本語を考えずに使っているのだと知った。
・小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」の発音が難しかったり、似ている発音のものを聞き取るのが難しいとわかった。
・カタカナとひらがなの違いが難しいことがわかった。
・句読点が難しいのだなと思った。
・小さい「っ」の発音が伝わりにくかった。ゆっくり話してもわからない。
・言葉がわからない人には丁寧に教える、伝える。
・自分が思っているよりはっきりと話すことが大切だと感じた。
・はっきり言わないと日本人でも間違えてしまうことがある。
・外国人(日本人でも)聞きにくい言葉は通じない時もある。
・相手の目を見てゆっくり話さないと上手く伝えられない。
・私がホームステイした家庭や周囲の人へ改めて感謝することができた。
・わかりやすい日本語を使うことを意識した。又その難しさも知った。自分が留学に行った時に、それほど難しいことをさせているのだとわかった。
・留学生が思っていたより日本語ができて、少し長い文章で言っても分かってくれた。
・日本についてもっと知りたくなった。

参加した中学生は明るく積極的で、参加した外国の方からも「楽しかった」という言葉を聞くことができました。

最後に、ほとんどの参加者が「楽しかった」「また参加したい」「もっとやりたかった」という感想を書いてくれました。 また、次回のワークショップでは:

・体を動かすゲームがしたい。
・違うゲームをしたい。
・日本文化(茶道など)を伝えたい。外国人から外国文化を知りたい。
・日本語を伝えるという作業をもっとしたい。

とても手応えのあるワークショップでした。ご協力くださった皆様、ありがとうございました。

     (文学部客員教授 小田切由香子)

2019年10月27日

芸術文化行政コース開設記念公開講演「舞踏の生まれるところ 麿赤兒と大駱駝艦 武蔵野文化」が開催されました

10月27日(日)、2020年度の芸術文化行政コース開設を記念する文学部スペシャル・レクチャーズ「舞踏の生まれるところ 麿赤兒と大駱駝艦 武蔵野文化」が開催されました。舞踏家・俳優の麿赤兒氏は1972年に舞踏集団「大駱駝艦」を創立し、この二十年あまりは吉祥寺北町にあるスタジオ「壺中天」を拠点として活動してきました。

まず、芸術文化行政コースの趣旨をコーディネーターを務める李知映客員准教授が説明し、それから麿氏を迎えて、大駱駝艦のこれまでの活動がスライドで紹介されました。音楽が変わるタイミングで大駱駝艦の田村一行、小田直哉、阿蘇尊の各氏が舞台に登場。実際にパフォーマンスを披露してくれました。三島由紀夫文学館に委嘱され今後の上演が決定している「ハグクミ申ス者—三島由紀夫に捧ぐ—」をワーク・イン・プログレス(制作中の作品)として特別に公開していただいたものです。会場である成蹊学園本館講堂に集まった約一五〇名の観客は、全身を白塗りにした三人の艦員たちがほぼ無言のまま行う、ダンスとも儀式ともつかぬ奇妙な身体の動きをすぐ目の前で見て驚き、感心していました。

その後、芸術文化行政コースでアート・ジャーナリズムを教える編集者・演劇ライターの鈴木理映子氏の司会によって、麿氏への公開インタヴューというかたちで、舞踏とは何か、「天賦典式」の成立の背景といった創作過程についての質問や、世田谷パブリックシアターでの次回公演『のたれ●』と、そのモチーフとなった俳人・種田山頭火への思いなどについて伺いました。

2019年7月27日

芸術文化行政コース開設記念シンポジウム「共生社会のアート:中央線沿線のまちとアール・ブリュット」が開催されました

7月27日(土)、2020年度の芸術文化行政コース開設を記念する文学部スペシャル・レクチャーズ「共生社会のアート:中央線沿線のまちとアール・ブリュット」が開催されました。

アール・ブリュットは、「生(き)の芸術」とも表され、既成の表現法にとらわれずに独自の表現法で制作された芸術作品のことです。近年、多様な人びとがともに生きるコミュニティづくりの手段として注目を集めており、成蹊大学の地元、武蔵野市でも、2017年から毎年夏にアール・ブリュットのイベントを開催しています。

第1部「学生の目でみた武蔵野アール・ブリュット」では、学生ボランティア本部Uni.の学生が、7月初旬に開催された企画展「武蔵野アール・ブリュット2019」をふり返るプレゼンを行いました。続いて現代社会学科の伊藤昌亮教授が、2018年度「コミュニティ演習」受講者が制作し昨年8月のスペシャル・レクチャーズで披露した記録映像を上映し、今日の社会においてアール・ブリュットが果たす役割を解説しました。

第2部「3つのまちのアール・ブリュット」では、中央線沿線の中野、立川、武蔵野でそれぞれアートイベントの企画実行を担ってこられた小林瑞恵氏、松嵜ゆかり氏、酒井陽子氏が登壇し、経験を語り合いました。社会福祉法人が地元商店街とコラボレーションする中野、障がいのある子をもつ親やアート関係者が牽引する立川、行政が関与し市民協働形式をとる武蔵野と、アート振興の方法にはそれぞれのまちの個性が反映されます。その一方で、アール・ブリュットを通じて人間の創造力の広がりを知り、多様な人がつながり合う社会をつくりたいという思いは皆一緒であることが確認できました。

アール・ブリュットは、東京五輪開催をひかえたいま、「文化オリンピアード」の一環として幅広く振興されています。その一方で、福祉と文化の両面にまたがる性格をもつことなどから、さまざまな解釈や批判も存在します。中野の小林氏は、こうした状況をふまえつつ「アール・ブリュットを社会における議論のプラットフォームととらえたい」と発言され、多くの共感を呼びました。シンポジウムは、2020年の節目をさらに越えて、「共生社会のアート」の魅力を持続的に広めたいとの展望をもって締めくくられました。

2019年7月21日

成蹊大学日本語教員養成コース設立記念シンポジウム「日本語教育は社会にどう貢献できるか」を開催

7月21日(日)、文学部スペシャルレクチャーズの一つとして日本語教員養成コース設立記念シンポジウム「日本語教育は社会にどう貢献できるか」が開催されました。

■登壇者
サーレ・アーデル・アミン先生
(カイロ大学文学部日本文学科長)
野山広先生(国立国語研究所准教授)
土屋巌先生(吉祥寺外国語学校校長)

アーデル氏は中東アフリカにおける最大の日本語教育機関であるカイロ大学日本語学科長の立場から、土屋氏は地元の日本語学校校長の立場から、そして、野山氏は日本語教育に関わる様々な分野の調査者、研究者としての立場から日本語教育が担う貢献についてお話をしてくださいました。

本シンポジウムは、2020年より日本語教員養成課程が日本語教員養成コースとして新たにスタートすることを記念して開催されました。2019年4月1日に改正入管法が施行され、今後日本に在留する外国人はさらに増加することが予想されます。このことに関連して6月28日に「日本語教育の推進に関する法律(令和元年法律第48号)」が公布、施行されました。並行して日本語教員養成のあり方が問われています。「社会に貢献できる日本語教師」が今後必要とされることでしょう。

このシンポジウムには日本語教育関係以外の方にも多く来場していただき(来場者は約70名でした)、質疑応答の時には多数の質問があり、講演者との議論も活発に行われ、同トピックに関する市民の関心の高さが窺われました。
        司会 小田切由香子(成蹊大学客員教授)

2019年6月22日

『ぼくらのハムレットができるまで』上映会+関係者座談会」が開催されました

6月22日(土)、2020年度の芸術文化行政コース開設を記念する文学部スペシャル・レクチャーズ「『ぼくらのハムレットができるまで』上映会+関係者座談会」が開催されました。山本良子監督の映画『ぼくらのハムレットができるまで』(2004年・46分)は、所沢にある小中学生を対象とする学習塾である赤門塾で毎年行われる演劇祭の稽古や本番の様子をドキュメンタリーとして追ったものです。

赤門塾は、ヘーゲルの研究・翻訳で名高い長谷川宏氏が設立したもので、現在の塾長は次男の長谷川優氏が務めています。設立以来50年近く毎年3月に演劇祭は赤門塾の教室を会場として開催され、塾生とそのOB・OGで出演してきました。なかには十数年にわたり出演してきた人もいます。

この映画を鑑賞した後、学校以外の教育現場における演劇上演の意義と可能性について、赤門塾の演劇祭に何度も足を運んできた片山幹生(早稲田大学)氏が山本監督、長谷川宏氏、長谷川優氏にお話をうかがいました。演劇の上演はしんどいことなのに、なぜ続けるのかと問われた長谷川宏氏が、少人数制の塾で教えるよりさらに濃密なコミュニケーションがとれ、人間的な関係を築き上げることができるから、と発言したことが印象的でした。

あいにくの雨模様の中、参加した80名強の熱心な聴衆との質疑応答も交えて、山本監督が映画を撮るまでに強い関心を持った赤門塾演劇祭の魅力がよく伝わったと思います。

2018年度に開催されたスペシャル・レクチャーズについては、以下のアーカイブページにてご覧いただけます。

スペシャル・レクチャーズ
(2018年度アーカイブ)

スケジュール(全日程終了)

日本語教員養成コース

シンポジウム
「日本語教育は社会にどう貢献できるか」
2019年7月21日(日)
ファシリテーター:小田切 由香子本学客員教授
講師:土屋 巌(吉祥寺外国語学校校長)、野山 広(国立国語研究所准教授)、アーデル・アミン(カイロ大学教授)
時間:13:00~15:30
場所:成蹊大学6号館501教室
日本語教員養成コース・受験生向けコースガイダンス 2019年8月3日(土)・4日(日)・5日(月) ※オープンキャンパス期間中
講師:小田切 由香子本学客員教授
時間:各日11:20~11:40と14:20~14:40(内容は同一)
場所:3号館401教室


芸術文化行政コース

『ぼくらのハムレットができるまで』
上映会+関係者座談会
2019年6月22日(土)
登壇者:山本 良子(監督)、長谷川 宏(赤門塾創立者、哲学者)、長谷川 優(赤門塾塾長)
司会:片山幹生(早稲田大学)
時間:13:00〜16:00(予定)
場所:成蹊大学4号館ホール
共生社会のアート~中央線沿線のまちとアール・ブリュット~ 2019年7月27日(土)
登壇者(予定):小林 瑞恵(社会福祉法人愛成会副理事長)、松嵜 ゆかり(アール・ブリュット立川実行委員長)、酒井 陽子(武蔵野アール・ブリュット2017・2018実行委員長、NPO法人ペピータ事務局長)
時間:15:00~17:20(予定)
場所:成蹊大学4号館ホール(予定)
芸術文化行政コース・受験生向けコースガイダンス 2019年8月3日(土)・4日(日)・5日(月) ※オープンキャンパス期間中
講師:李 知映 本学客員准教授
時間:各日12:50~13:10と15:50~16:10(内容は同一)
場所:3号館401教室
「舞踏の生まれるところ —麿赤兒と大駱駝艦 武蔵野文化—」 2019年10月27日(日)
出演者:麿赤兒(大駱駝艦主宰)大駱駝艦メンバー、司会:鈴木理映子(編集者・ライター、元『シアターガイド』編集長)
時間:14:00-16:00 (開場:13:30)
場所:成蹊学園本館大講堂

アクセス

JR中央線・総武線
(東京メトロ東西線)
京王井の頭線
【吉祥寺駅】下車
吉祥寺駅より徒歩約15分
吉祥寺駅北口バスのりば1・2番より 関東バス約5分『成蹊学園前』下車
西武新宿線 【西武柳沢駅】下車
西武柳沢駅南口より 関東バス(吉祥寺駅行)約15分『成蹊学園前』下車

文学部スペシャル・レクチャーズに関するお問い合わせ

成蹊大学文学部共同研究室

TEL:0422-37-3640