スペシャル・レクチャーズ

文学部スペシャル・レクチャーズ(2018年度)

2019年4月、英米文学科は英語英米文学科に改称しました。
この英語英米文学科への改称を記念して、文学部では2018年7月から11月にかけて「文学部スペシャル・レクチャーズ」を開催しました。
たくさんの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。各回の実施レポートを以下にてご覧いただけます。

【お知らせ】
台風接近のため中止となった揖斐高名誉教授の講演会「江戸漢詩への誘い」において講演予定だった内容が掲載された『成蹊國文』52号が刊行されました。
以下よりご覧いただけます。

「江戸漢詩への誘い」
成蹊大学学術情報リポジトリ
『成蹊國文 52号』

レクチャーレポート

2018年11月3日

英米文学科レクチャー・コンサート「ミュージカルからジャズのスタンダードへ〜舞台芸術がジャズの形成に及ぼした影響〜」を開催

11月3日(土)、文学部スペシャル・レクチャーズの一つとして英米文学科レクチャー・コンサート「ミュージカルからジャズのスタンダードへ~舞台芸術がジャズの形成に及ぼした影響~」が開催されました。

■登壇者
サマンサ・ランダオ(ヴォーカル、レクチャー)
昭和女子大学人間文化学部専任講師

バーナビー・ラルフ(ギター、レクチャー)
文学部英米文学科准教授

日比野 啓(司会、解説)
文学部英米文学科教授

ミュージカルもジャズも1920年代に人気を確立し、1930年代以降、ミュージカル・ナンバーはジャズの名曲として定番化していきました。ジャズ・ミュージシャンたちはミュージカル・ナンバーを「スイング」させ、人々はそれに合わせて踊ったのです。1940年代以降ジャズの中心が器楽曲に移っても、ミュージカル・ナンバーはコールアンドレスポンスや即興などの技法を取り入れながら、ビ・バップやハード・バップなどの新しいジャズ様式に取り入れられていきました。ジャズはミュージカル・ナンバーを取り入れることで大衆の人気を得、ミュージカルもジャズとの出会いによって変わっていったのです。「枯葉」「サマータイム」「私のお気に入り」等の名曲をギターの伴奏で歌いながら、ミュージカルとジャズが相互に影響を与えた歴史が解説されました。

2018年8月5日

人文叢書レクチャー「チョコレートの秘密、コーヒーの秘密」を開催

オープンキャンパス期間中に、成蹊大学人文叢書第15巻『嗜好品の謎、嗜好品の魅力』をもとに、2つの章を紹介するレクチャーが開催されました。人文叢書は、文学部の教育・研究成果を社会に発信するための書籍シリーズです。すでに15巻まで刊行されており、今回は最新刊が紹介されました。

文学部 小林教授による趣旨説明のあと、文学部 竹内教授から「チョコレートの秘密」について、文学部 佐々木准教授から「コーヒーの秘密」について講演が行なわれました(写真)。

当日は、受験生、一般の方がたおよそ70名が参加し、熱心に聞き入っていました。豊富な体験談を聞き、また写真を見ながら、「謎解きの世界旅行」のひとときを楽しんで頂けたようです。受付にはトルコのコーヒー・セットが展示されました(写真)。

このような形で人文叢書を発信するのは、はじめての試みです。参加者の皆様、サポートくださった皆様、大変ありがとうございました。

2018年8月5日

英米文学レクチャー「アメリカ文学研究をトランスアメリカにひらく」

8月5日(日)オープンキャンパス期間中に、英米文学レクチャーズのひとつとして、「アメリカ文学研究をトランスアメリカにひらく」というテーマで、庄司宏子文学部英米文学科教授がレクチャーを行いました。

レクチャーでは、南北戦争以前(アンテベラム期)の19世紀アメリカ合衆国において、南部奴隷州から北部自由州、さらに英領植民地カナダへと逃亡する奴隷を援助する秘密組織であった「地下鉄道」(the Underground Railroad)が、人種の分断に揺れる現代アメリカにおいて関心が再熱していること、そして19世紀の「地下鉄道」に関して新たなアプローチによる研究が進み、それに連動して「地下鉄道」をテーマとするテレビドラマや現代小説が生み出されていることが紹介されました。

神話化されたアンテベラム期の「地下鉄道」の見方が修正されつつあり、カリブ海からカナダへと西半球世界に広がる「海の地下鉄道」ともいうべき反奴隷制度のネットワークが浮上するなど、「地下鉄道」をめぐってダイナミックに展開するアメリカ文学研究の現状と、文学がもつ国境を越える視点から、社会を批評し歴史を修正する力についてのミニ講義となりました。

2018年8月4日

現代社会学科特別講義「吉祥寺で学ぶ/吉祥寺を学ぶ ~プロジェクト型授業「コミュニティ演習」の挑戦~」

オープンキャンパス期間中の8月4日(土)、文学部スペシャル・レクチャーズの一つとして現代社会学科特別講義「吉祥寺で学ぶ/吉祥寺を学ぶ〜プロジェクト型授業『コミュニティ演習』の挑戦〜」が開催されました。

当日は2015年度から2017年度までの授業(「1964年からみる吉祥寺」、「街についての記憶を記録へ」、「武蔵野市の互助・共助のしくみ」)の概要と成果が報告された後、今年度前期におこなわれたばかりの「表現を通じた共生−武蔵野アール・ブリュットに向けて」について、担当教員と履修生たちによる詳細な報告がおこなわれました。

アール・ブリュットとは美術の専門教育を受けていない人、中でも、障がいのある方によるによる芸術活動を指す言葉です。履修生たちは障害のある方の創作活動を支援するNPO法人「ペピータ」や2017年度から開催されている「武蔵野アール・ブリュット」関係者、そして武蔵野市職員への聞き取りなどを通じ、アール・ブリュットという言葉の意味とアール・ブリュットをめぐる活動の社会的意義についての考察を深めていきました。

「障がいや障がい者に対する自分の視点や思考が無意識の内に偏っていたことに気づいた」、「これまで見逃していた街の中のさまざまなアートに目が向くようになった」など、授業を通した自らの変化を語る履修生の実感のこもった言葉に、来場者から大きな拍手が寄せられました。

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2018年8月4日

英米文学レクチャー「イギリス文学と精神分析、あるいはトラウマと戦争」

この講義では、まずは「トラウマ」の歴史について概観しました。世界史上最初にこの概念が使用されたのは、19世紀イギリスの鉄道事故に遭った人たちの心の状態を指す用語としてでした。精神外傷とも訳されるこの概念が、新しい技術革新と関係があること、人の心はこれまで経験のない衝撃に対して脆弱性があることを確認したのです。ちなみに「トラウマ」とは、元はギリシア語で「傷」を意味します。

トラウマが一挙に大きな注目を浴び、精神医学の用語として定着したのは、第一次大戦においてです。戦場で心に深い衝撃を受けた兵士たちに特有の症状——体の震え、戦場での恐怖を悪夢として反復・経験してしまうことなど——が「戦争神経症」あるいは「シェルショック」と呼ばれ、同時代の精神医学が解決できない謎となりました。この症状を戦後もっとも鋭く説明したのが、精神分析の創始者であるジークムント・フロイトです。フロイトは、人の心がそれまで経験したことがない苦痛に出会うと、その経験を忘却するどころか、それを何度も悪夢の中などで経験してしまうことを「反復強迫」と呼び、この症状を理論化しました。

この症状は、兵士の悪夢だけでなく、同時代のイギリス文学の言語においても反復されました。世界最初の総力戦は、人類がそれまで経験したことがない、言語で表現できない衝撃として、同時代の文学においてトラウマとして反復され、その言葉を——兵士の心のように——破壊していったのです。この戦争において使用された最新のテクノロジーの破壊性が、人の心と言葉を破壊していった次第を、パワーポイントやYouTubeなどの映像資料を使用しながら、解説するレクチャーとなりました。

2018年7月21日

レクチャー・コンサート「アンデス音楽の伝統と前衛」を開催

7月21日(土)、本館大講堂にて文学部主催のレクチャー・コンサート「アンデス音楽の伝統と前衛」を開催しました。

本イベントは、文学部の学科名改称(2019年度)や新コース・新カリキュラム導入(2020年度)を記念する「スペシャル・レクチャーズ」の一環として、同学部国際文化学科が実施しました。

イベントでは、森雄一文学部長の挨拶に続き、国際文化学科の細谷広美教授がレクチャー「アンデスの文化と音楽」を行い、笹久保伸氏(ギター)とペルー出身のイルマ・オスノ氏(歌)がアヤクチョの伝統曲など計13曲を演奏されました。

連日の猛暑の中、この日も気温は35度に達しましたが、会場には約300名の熱心な聴衆が集まりました。レクチャーを通じアンデス音楽の多様性とダイナミズムについて理解を深めるとともに、ギターの調べとケチュア語の歌に耳を傾け、演奏者のおふたりのトークから先住民の暮らしや激動のペルー現代史にも思いを馳せました。歌に合わせ全員で手拍子をとったり、休憩時間や終演後には民族楽器に間近でふれたりなど、暑さを忘れる楽しいひとときとなりました。

※当事業の開催にあたり、ペルー大使館の後援をいただきました。

2018年7月7日

英語教育レクチャーズ―いま、あらためて考える英語教育

【第一部】
阿部 公彦(東京大学文学部教授)
「なぜ私たちの英語は『失敗』するのか?」
【第二部】
靜 哲人(大東文化大学外国語学部教授)
「英語の歌で発音が良くなるって本当ですか?」
〜グルグル・メソッドで歌わせる授業の理念と実践〜

 2018年7月7日、成蹊大学文学部スペシャル・レクチャーズ第一回として、『英語教育レクチャーズ―いま、あらためて考える英語教育』が開催されました。

 第一部は阿部公彦先生(東京大学部文学部教授)が「なぜ私たちの英語は『失敗』するのか?」という題で講演を行いました。阿部先生は英米の詩が研究の中心ですが、昨今は『史上最悪の英語政策―ウソだらけの「4技能」看板』(ひつじ書房)の出版やTwitterの発言を通じて、日本における英語教育の現状を精密かつ誠実に批判、もしくは今後の動向に対し働きかけています。今回の講演では、「四技能主義」を冷静に検討するレンズを授けてくださったように思います。

 第二部は、靜哲人先生(大東文化大学外国語学部教授)による「英語の歌で発音が良くなるって本当ですか? 〜グルグル・メソッドで歌わせる授業の理念と実践〜」の講演でした。英語の歌を歌わせて、英語学習において重要な「音節の感覚」を理解させるために、とくに大教室での限られた授業時間の中で、どうすれば個々の学生に効率的に、そしてピンポイントに指導を行うことができるのか。そのような問題意識から考案された、指導者が文字どおり教室をぐるぐると回りながら、学生一人につき5秒ほどの指導を施していく「グルグル・メソッド」による発音の授業について、お話しを頂きました。

講演会の詳細なレポートはこちら(PDF)から。

参加者の声はこちら(PDF)から。

スケジュール

英米文学科

英語教育レクチャーズ
いま、あらためて考える英語教育
2018年7月7日(土)
阿部 公彦 (東京大学文学部教授)「なぜ私たちの英語は『失敗』するのか?」
靜 哲人 (大東文化大学外国語学部教授)「英語の歌で発音が良くなるって本当ですか?」〜グルグル・メソッドで歌わせる授業の理念と実践〜
時間:14:30〜17:00
場所: 4号館ホール
イギリス文学と精神分析、
あるいはトラウマと戦争
2018年8月4日(土) ※オープンキャンパス期間中
遠藤 不比人(成蹊大学文学部教授)
時間: 13:00〜14:00
場所: 9号館102教室  
アメリカ文学研究を
トランスアメリカにひらく
2018年8月5日(日) ※オープンキャンパス期間中
庄司 宏子(成蹊大学文学部教授)
時間: 13:00〜14:00
場所:9号館102教室
※中止になりました※
Ronald W. Langacker教授講演会
(日本言語学会後援)
2018年8月26日(日)
認知文法の創始者である世界的な言語学者 ロナルド・ラネカー教授(カリフォルニア大学サンディエゴ校)の講演会
時間: 14:00〜
場所:4号館ホール
レクチャー・コンサート
ミュージカルからジャズのスタンダードへ
〜舞台芸術がジャズの形成に及ぼした影響〜
2018年11月3日(土)
バーナビー・ラルフ(成蹊大学文学部准教授)
サマンサ・ランダオ(昭和女子大学国際学部専任講師)
時間: 13:00〜14:00
場所:6号館301教室

日本文学科

※台風接近のため中止※
江戸漢詩への誘い
2018年7月28日(土)
揖斐 高 名誉教授(日本学士院会員)による講演会(大学院日本文学専攻研究集会と同日開催)
時間: 16:00〜17:00(予定)
[場所] 8号館201教室 

国際文化学科

レクチャー・コンサート
アンデス音楽の伝統と前衛
(在日ペルー大使館後援。事前申込みは終了しました。)
2018年7月21日(土)
コンサート 笹久保 伸(ギター)、イルマ・オスノ(歌)
レクチャー「アンデスの文化と音楽」細谷 広美(成蹊大学文学部教授)
時間: 15:00〜17:00
場所:本館大講堂

現代社会学科

現代社会学科特別講義
吉祥寺で学ぶ/吉祥寺を学ぶ
〜プロジェクト型授業「コミュニティ演習」の挑戦〜
2018年8月4日(土) ※オープンキャンパス期間中
伊藤 昌亮(成蹊大学文学部教授)
渡邉 大輔(成蹊大学文学部准教授)
見城 武秀(成蹊大学文学部教授)
時間: 11:40〜12:40
場所:9号館102教室

人文叢書レクチャー

チョコレートの秘密、コーヒーの秘密
成蹊大学人文叢書第15巻『嗜好品の謎、嗜好品の魅力』をもとに、2つの章を紹介します。
2018年8月5日(日) ※オープンキャンパス期間中
小林 盾 (成蹊大学文学部教授)
竹内 敬子(成蹊大学文学部教授)
佐々木 紳 (成蹊大学文学部准教授)
時間: 11:40〜12:25
場所:9号館102教室

※成蹊大学人文叢書は、文学部の教育・研究成果を社会に発信するための書籍シリーズです。

文学部スペシャル・レクチャーズに関するお問い合わせ

成蹊大学文学部共同研究室

TEL:0422-37-3640