このゼミを選んだ理由は、文学だけでなく心理学や精神分析も学べる点です。英語圏の小説や映画などを心理学的な視点で分析して、ジェンダーやマイノリティなど隠されたメッセージを解き明かしていきます。みんな幅広く自由な題材で研究していて、ディズニープリンセスを取り上げることも。子どもの頃から親しんできたものについて、どのような点に惹かれていたのか分析するのは楽しいです。私は3年次に、映画『シザーハンズ』を扱い、ハサミなどのアイテムや色彩が何を象徴するのかなど、犯罪心理学とからめて細かく分析していきました。3・4年次合同のゼミなので上級生からも多くの意見をもらい、視野が広がりました。どのような意見も受け入れてもらえる雰囲気なので議論も活発になります。今は『コララインとボタンの魔女』というアニメ映画を題材に、「アメリカ社会と母娘関係」というテーマで卒業論文の執筆に取り組んでいます。
文学修士(慶應義塾大学)、博士・学術(一橋大学)。東京都立大学助教授などを経て現職。イギリス文学の研究から人の心と言語との関係の重要性を知り、現在の研究は精神分析の歴史や理論にも及ぶ。
映画を心理学的視点から分析すると、現代英語圏のジェンダーや人種、経済格差などに対する考え方が見えてきます。グローバル社会で生きるためには、語学を学ぶだけでなく、背景にある文化、社会、歴史についても十分な知識と教養を身につけることが必要です。