教育理念・特色

学園長メッセージ

グローバルな課題を
解決するための「共創力」を育む

成蹊学園学園長 江川 雅子

1912年に成蹊学園の前身、成蹊実務学校を開校した中村春二先生は、当時の知育偏重、画一的な教育に疑問を持ち、生徒一人一人の個性に合わせて教育を行うべきだと考えました。「個性の尊重」は成蹊学園の建学の精神の一つであり、本学では小学校から大学まで少人数教育を徹底しています。近年注目されている「個別最適な学び」を100年以上前から実践してきたのです。

今日、グローバル人材の育成と多様性への対応が大きな課題となっています。「個性の尊重」は一人一人の個性を大事にするという意味で、多様性を受け入れることにつながります。

人が国境を越えて移動するようになり、国内でも国籍・文化的背景の異なる人との協働作業が増えています。一方、環境問題・地域紛争・経済格差・感染症など、世界中から異分野の専門家が集まって解決しなければならない地球規模の課題が山積しています。私は二度の海外留学、外資系企業などでの勤務経験から、グローバル人材に求められるのは、英語によるコミュニケーション能力ばかりではなく、「多様な国籍・文化、専門分野の人たちと協働して新しいものを生み出す能力」であると考えています。これは、「共創力」と言い換えることができるでしょう。

成蹊大学ではこのような力を育むために、2026年に「国際共創学部」(仮称)の設置を構想しています。更に、全学の学生の国際的な対応力を強化するために、留学の機会を拡充し、新しい国際コース「Global Study Program(GSP)」も計画しています。中学校・高等学校や小学校でも、早くから国際理解教育、国際交流プログラムを実施してきましたが、それらを更に充実させます。

多様な人たちと協働、共創するためには、その人たちと理解し合い、信頼関係を築かなくてはなりません。その基盤になるのが人間性であり、社会に貢献したいという志です。成蹊学園は「品性の陶冶」も建学の精神として掲げ、創立以来、人格教育に力を入れてきました。その教育を受けた卒業生は、仲間から信頼されるリーダーとして、国内外の様々な分野で活躍しています。

成蹊学園は池袋から吉祥寺へ移転し今年で100年を迎えます。今後も同窓生や保護者・地域の皆さまと力を合わせて、伝統ある成蹊学園を更に発展させるために尽力してまいります。引き続きのご理解とご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。