教育理念・特色

学園長メッセージ

グローバルな課題に
挑戦する若者を育む

成蹊学園学園長 江川 雅子

昨年4月、学園長に就任して以来、学内外の方々と議論を重ね、アンケート調査の結果を踏まえて、今後6年間で取り組む第3次中期計画を練ってまいりました。学園目標を「確かな教養と豊かな人間性を備え、グローバル社会の発展に貢献する『桃李の人』を育てる」と定めた上で、大学、中学・高等学校、小学校がそれぞれ目標を立て、重要施策とそのための行動計画を策定しました。
中期計画で特に力を入れたいと考えているのが、教育の国際化、グローバル人材の育成です。大学では多様な留学プログラムを充実させ、多くの学生に海外体験を積ませると同時に、多様性に富む学習環境を実現するために、留学生の受け入れを増やす取り組みを進めます。中学・高等学校、小学校でも、留学や海外体験の機会を拡充します。

私は高校生の時にレイチェル・カーソンの『沈黙の春』を読みました。農薬などの化学物質が生態系に与えている影響を指摘し、環境問題を提起した本ですが、人間が生態系を破壊したために自然から逆襲を受けることを知り、衝撃を受けました。近年は、地球温暖化、海洋汚染、森林破壊、生物多様性の減少などが深刻化し、環境の持続可能性が人類共通の喫緊の課題となっています。

成蹊学園は創立当初からESD(Education for Sustainable Development)の理念につながる教育を実践しており、2018年にサステナビリティ教育研究センターを設立しました。ESDとは持続可能な開発に関する価値観を共有し、それを通じて、体系的な思考力、批判力、情報の分析能力、コミュニケーション能力、リーダーシップを育むもので、成蹊学園はユネスコスクールとして認定され、ESDの推進拠点となっています。ESDは教育カリキュラムばかりでなく課外活動にも取り入れられており、例えば、キャンパスの欅の落葉を集めて堆肥を作り、植物栽培に活かす「けやき循環プロジェクト」には、毎年小学生から大学生が一緒になって取り組んでいます。

100年以上前から国際理解教育に力を入れてきた成蹊学園の卒業生は、世界中でさまざまな課題の解決に取り組んでいます。旧制高校のリベラルアーツ教育の伝統を活かし、今後もグローバルな課題に挑戦し、21世紀を担う若者を育むために、同窓の方々や保護者の皆さまと連携しながら力を尽くしてまいります。引き続きご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。