SPECIAL INTERVIEWvol.100

Special Interview 蹊を成す人
テレビ朝日アナウンサー 並木万里菜

テレビ朝日アナウンサー並木万里菜


当たり前のことを続ける。
誰かが見ていてくれる。


人気音楽番組「ミュージックステーション」に、入社1年目で抜擢された並木さん。
ミス成蹊に選ばれた学生時代やアナウンサーのお仕事を笑顔で語る中にも、芯のある強い想いが伝わってきました。

プロフィール:
1996年生まれ。2018年に成蹊大学経済学部経済経営学科を卒業。在学中「ミス成蹊2015」グランプリに選ばれる。2018年4月、テレビ朝日に入社。同年10月より、情報バラエティー番組「お願い!ランキング」へのリポーター出演と、タレントのタモリがメイン司会を務める「ミュージックステーション」10代目サブMCに大抜擢される。

成蹊は、自分らしくいられる場所。

成蹊は、自分らしくいられる場所。

入社は2018年の4月で、3月までは成蹊大学に通われていました。卒業から1年、そろそろ大学生活も懐かしく感じられる頃でしょうか。ちなみにどんなきっかけで成蹊を選んだのですか。

大学案内の冊子で見たキャンパスに一目ぼれしたんです。まずあの本館の洋風でレトロな建物の雰囲気と、欅並木。そして、広い敷地の中に校舎がある。高いビルの学校より、緑を感じられる場所で学びたかったので、"ここだ!"と思いました。それから何といっても情報図書館。宇宙のような空間に、一目みて心奪われました。図書館は家で勉強するより集中できるので、よく利用していました。自習スペースのクリスタルキャレルとか懐かしいなあ。成蹊って勉強する環境もいいのですが、結構自由でいさせてくれる場所というか、個を大事にしているなっていうのをすごく感じる。自分らしくいられる場所でしたね。

管理会計の伊藤ゼミで学ばれたと聞いています。

はい。学ばせてもらったのは管理会計の分野にとどまりませんでした。自分の好きなことや興味があることを、面白く、ためになるようにプレゼンテーションするということが多かったです。自分が選んだ本を紹介し合い、ディスカッションする「ビブリオバトル」をしたり、実際に企業に行って抱えている問題を伺い、それに対して解決策を提案したり。もちろん、企業の財務諸表を見て何か発表するという管理会計らしい授業もあったんですけど、もっと幅広いジャンルでチャレンジしていくゼミでした。

人にプレゼンする力を、ゼミで学んだ。

人にプレゼンする力を、ゼミで学んだ。

ゼミでの経験が今に役立っているということはありますか。

日々の授業の中でインプットして、ゼミではその知識をもとにアウトプットする機会がとても多かった。プレゼンテーションをするという仕事はまだないのですが、例えば、今担当している「ミュージックステーション」では、出演者の皆さんや隣にいるメインMCのタモリさんに様々な情報を伝えなければならない。人にプレゼンする力は伊藤ゼミで養われたかなと思っています。
それから、伊藤先生は「あなたが与えた物が、あなたが受け取る物」と日頃から仰っていました。この言葉はゼミだけではなく、普段の学校生活でも、そして働きだしてからも実感することが多くて、自分の一番の糧になっています。私は社会人1年目で何もできないので、挨拶、時間を守ること、報告・連絡・相談の「ほうれんそう」といった当たり前のことを、とにかくしっかりやろうと欠かさず続けてきました。そうしたら「いつも元気に挨拶してくれるよね」と仰っていただいたり、顔を覚えてもらったり、少しは自分のしたことが届いているのかなと思う瞬間がありました。

「あなたが与えた物が、あなたが受け取る物」
先生の言葉が心の糧に。

選抜制の情報分析プログラムにも入っていたりと、かなり勉強をがんばっていたようですね。

いえいえ、勉強漬けというわけではないです。いくつかアルバイトもやっていましたし。面白かったのが浅草で人力車を引くバイトです。車体の重さだけでも70キロあって、お客様を二人乗せると150キロは超えるんですが、支点・力点・作用点でうまい角度を探せばスーッと進むんです。なにより一番大変だったのはトークの部分です。走りながらだから、息も切れる。しゃべるだけではつまらないから、抑揚や緩急をつけたり、こちらから質問をしたり、お客さまと会話を楽しむっていうのが結構難しかったです。人力車もそうですが、元々男の子がするようなことに興味を持つ性格で(笑)。虫を捕って遊んだりしているような子どもでしたし、中学・高校と合気道も習っていました。

ミス成蹊に選ばれたのは2年生の時でしたよね。
どうして出場してみようと?

実は友達を増やしたかったからなんです(笑)。大学2年生になっても私には友達が少なくて。何かのきっかけがあればと思っていたら、同じ経済学部で広告研究会に所属する女の子からミスコンに出ないかと声を掛けてもらったんです。
出場を決めたら、欅祭までの半年くらいの間やらなければならないことが多かったです。SNSの更新とか、本番で披露するパフォーマンスの練習とか。私は英語で寸劇をしたんですけど、なかなか難しくて。

「あなたが与えた物が、あなたが受け取る物」 先生の言葉が心の糧に。

ミスコンを通して何か得たものはありましたか。

友達がたくさんできたことはもちろんですが、支えてくれる人たちの大変さを知ったことが一番の収穫でした。表に出ない立場にもかかわらず、長い期間、本番に向けて心血注いで準備をする。多くの人の目に見えない部分の苦労を知り、周りへの感謝を忘れないようにしたいと思いました。だから私は、舞台に出る側とそうでない側の壁を作りたくなくて、現場には一番に着くとか、最後の片付けまで一緒にやるとか、そういう当たり前にできることは常に心掛けました。

女子アナがやったことのないジャンルに挑戦したい。

お仕事の話を伺わせてください。テレビ局あるいはアナウンサーを目指したきっかけは何ですか?

大学のOG訪問です。ミスコン出場のつながりで、日本テレビの畑下由佳アナウンサーにお話を聞く機会を頂いたんです。テレビの仕事について伺ったら「仕事は毎日違うし、出会う人も違うし、本当に楽しい」って生き生きと話されて。それと「テレビは生活に不可欠な物ではないけれど、あることで人の生活を豊かにし、活力を与えることができる」と聴き、それってすごく素敵だな、私もテレビ局で働きたいなと思ったんです。
入社してからはアナウンサーの研修が4カ月間。研修、研修の日々です。22年間自分がしていた声の出し方が違うことが分かり、細かく分解して日本語をもう一度勉強できたと思っています。アナウンサーの仕事が多岐に渡ることも学びました。テレビだけではなく、社内外のイベントの司会、ナレーションや朗読の仕事などもあるんですよ。早く仕事をしたいとワクワクした気持ちで過ごしていました。

女子アナがやったことのないジャンルに挑戦したい。

入社1年目で、「ミュージックステーション」のサブMCに大抜擢されました。

すごくびっくりしました。自分にはちょっと畏れ多いというか、務まらないっていうことも正直に部長に話しました。その時「すぐ君にできるなんて誰も期待していないから、そのまま伸び伸びやってほしい。番組が君を育てるんだ」と背中を押してくださって、それが頑張ってみようという力になりました。
始まってからは反省の連続です。制作側の意図をちゃんと汲み取れていないなとか、生放送なのに時間の管理ができていないなとか。でも皆さん「反省しなくていいよ」と仰ってくださる。本当に温かく優しいスタッフの方たちに恵まれて、今はまだ、甘えてばっかりなんです(笑)。いずれは、タモリさんとアーティストの懸け橋のような存在になりたい。私は本番の朝、リハーサルからいるんですね。本番までにアーティストとお話ししてエピソードを集める。できるだけ魅力を引き出して、その後いらっしゃるタモリさんにそれをお伝えすることで、アーティストの方と楽しくお話しできるお手伝いをしたいと思っています。

お仕事でのご苦労はありますか。

お仕事でのご苦労はありますか。

全部が楽しいので、苦労は感じません。あるとすれば、自分の表現力の引き出しが少ないことです。何かリポートする時に、表現が拙くて伝えたいことが全然伝えられていないというもどかしさはあります。
でも本当に、アナウンサーになって良かったなと思うことばかり。未だに信じられないんです。両親からも「テレビにあなたが映っているのは不思議。しかもタモリさんの横で」と言われます(笑)。

お忙しい毎日の中でどうやってリフレッシュしていますか。

朝、自分の時間を作ることがリフレッシュになっていると思います。出社する時間の4時間前に必ず起きるんですね。準備自体は1時間で終わるので、残った3時間で自分の好きなことをする。テレビを見ながらストレッチしたり、英語の勉強をしたり、食に関する資格を取りたいのでその勉強に充てたり。やりたいことがすごくいっぱいあって、その自分の時間がいい気分転換になっています。

お忙しい毎日の中でどうやってリフレッシュしていますか。

最後に、これからの目標や夢についてお聞かせください。

元々は報道志望でアナウンサーを目指していたんです。女性がもっと活躍できる社会、女性と男性がフェアな関係で働ける社会を実現したいという思いがあり、影響力のあるテレビから発信したいと思っていて。まだまだ先のことですが目標にしていることは、女性アナウンサーがやったことのないジャンルに挑戦することかなと思っています。そうすることで、女性が活躍できる道が少しでも開けてくるかもしれない。具体的にやってみたいのはスポーツの実況です。女性がしている競技、例えばフィギュアスケートなどは、女性の声でも違和感ないかもしれない。あとは女子マラソンとか。女性が活躍しているスポーツの実況ができればうれしい。とにかく、多方面で活躍できる女性アナウンサーに憧れますし、私も早くそうなれるよう挑戦していきます。

恩師が語る
「並木さんて、こんな人!」
経済学部 伊藤克容教授

恩師が語る 「並木さんて、こんな人!」 経済学部 伊藤克容教授

いちばん印象に残っているのは、教室の最前列で講義を熱心に受講している姿。成績がどの科目についても優秀で、学部の選抜プログラムに所属していました。会計関係の科目は、抜群によくできました。自分でしっかり勉強していたみたいです。講義中の計算問題はいつもあっという間に解いていました。頭脳明晰でテストがよくできるだけではなく、真剣な受講態度、聴講姿勢は、周囲からの信頼を獲得するお手本にしたい雰囲気でした。大学での勉強は、将来のキャリア形成のために重要なステップですが、重要性を見失いがちになることも多いのが実状。講義中に、モチベーションを高めるような話をすることがよくありますが、そんな必要はまったくない人でした。3年生から2年間、ゼミで一緒に勉強をしました。静かに深く思考するタイプの優等生です。私が考える彼女の最大の長所は、人の話をよく聴くのに象徴される受容力と自分の意志、芯をしっかりもって歩み続ける気持ちの強さを併せ持っていること。マスメディアに進まなくても、いろいろな方面で才能を発揮できたはず。今後の活躍に期待は高まるばかりです。

先輩局員が語る
「並木さんて、こんな人!」
テレビ朝日広報部(成蹊大学卒)
川野奈巳さん

社報の新入社員紹介をながめながら「人力車って女子でも引けるんだね」と同僚と話していたら、よく見ると成蹊出身。早速社内のOB・OGに声を掛け、歓迎会を開きました。並木さんは初めからすごく好印象でした。電話やメールでのやりとりの時点から律儀で礼儀正しくて健気なことが伝わってきましたが、実際に会ってみると、とにかく元気!そして気配り上手で周りをほっこりさせる空気を纏った素敵な女性です。サブMCに就任した「ミュージックステーション」は私も以前音声として担当していた思い入れのある番組です。もし交替するタイミングなら並木さんだったらいいなと勝手に考えていたので、決まった時はうれしかったです。テレビ朝日にとって20年ぶりの成蹊卒入社、久しぶりに後輩が入ってきてくれて本当にうれしいです。ますますの活躍を期待しています。

テレビ朝日広報部(成蹊大学卒) 川野奈巳さん

出演番組情報

出演番組情報

『ミュージックステーション』 金曜 よる8:00から
『お願い!ランキング』 月~木曜 深夜(関東地区のみ)

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