いつ頃から医学の道を志すようになったのでしょうか。
医者になるようにと親から言われたことはないのですが、やはり家族の影響でしょうか、高校を卒業する頃に、自然と医学に興味を持ちました。アメリカの医学部って、4年制の大学を卒業しないと進学できないんですよ。4年間で一般教養というか、自分の知らないことをいろいろと習ったうえで、医学の道を専攻できる。そんなところにも共感して、医学分野に強いジョンズ・ホプキンス大学へ進学することに。実は、高校でアメリカに渡り言語や文化を学んで、将来は外交関係の仕事をしたいと漠然と思っていた時期があったんです。そのような思いがあった中、大学で「公衆衛生」という道を知りました。公衆衛生というのは、一人ひとりの患者を対象とする治療や臨床医学ではなくて、もっと大きな人数を対象とするもの――伝染病や公害、生活習慣病などに対する学問、つまり予防医学です。その予防医学を各国で普及するためには、国の政府機関や国際機関との交渉も必要になってきます。「予防医学というのは国をまたいで仕事ができる」ことを知った。医学と外交がマッチした瞬間で、これはやってみたいと思いました。