そして、成蹊中学校への進学と同時に、晴れて音楽に没頭する日々が始まったのですね。
入部して、希望通りトランペットのパートに決まりました。部活は中学と高校の合同で活動していて、全体で約60人の部員がいたと思います。ふだんは現代音楽が中心でしたが、文化祭ではポップスなどの曲にも取り組んでいました。その中でアドリブ(即興)パートを含む曲を演奏することになり、参考のメロディーラインが書かれた楽譜をもらったんです。その時に、「楽譜を見ずに、本当にアドリブで吹けたらなぁ」と即興演奏に興味を持ちました。そんなことを家で話していたら、「随一のトランぺッターがいるから、演奏を聴きに行くといいよ」と父が薦めてくれました。その方が、エリック・ミヤシロさん。ハワイ生まれのトランペット奏者で、アドリブやアレンジの神様のような存在です。エリックさんのビッグバンドの演奏をライブハウスで間近に聴いたことがきっかけで、音楽大学でトランペットを専門的に学ぼうと決意しました。まずはクラシックの基礎を学んでからジャズを勉強したいと考え、部活に加えて個人レッスンへ通い始めました。