国際文化学科の学び

実践知の創成

授業の事例から:「フィールドワーク論」履修学生インタビュー

文化人類学とフィールドワーク

ー講義を通して得た「気づき」

―「フィールドワーク論」を履修したきっかけと、講義の概要を教えてください。
H·O:フィールドワーク論を履修したきっかけは、もともと文化人類学を学ぶことに興味があったからです。文化人類学の研究をするうえで欠かせないフィールドワークの手法について学びたいと思い、この講義を受講しました。授業では、担当教員の嶺崎寛子先生がエジプトでのフィールドワーク中に体験した事例をもとに、その手法やフィールドワーカーとしての心得を学びました。また、学生同士のディスカッションや模擬インタビューを通して、私が持っていた無意識の先入観に気づかされることも多くありました。
―嶺崎先生がエジプトで体験したこととは?
H·O:日本では苦行のように理解されているラマダン(断食月)ですが、先生がフィールドワークでエジプトに滞在した際、エジプト人はラマダンが大好きでとても楽しみにしていることを実感したそうです。言うなれば宗教的な功徳が何倍にもなるボーナス月間だと思われていて、みんなが同じように空腹という一種の連帯感も生まれるようです。平たく言えば盛大なお祭り感覚でしょうか。現地に滞在した先生だから語れる実体験だと思います。
―受講後、ご自身のフィールドワークに対するイメージが変わった点はありますか?
H·O:本講義を受講する前は、フィールドワークはなんとなく楽しそう、長期旅行みたい!というイメージがありました。知らない場所で、知らない人々と関わることはなんだか楽しいことのように思えたのです。ちょっと長い観光ツアーに行くくらいの気持ちだったのだと思います。しかし、講義を通してフィールドワークについて学ぶうちに、そのイメージと実際のフィールドワークは大きく違っていることに気づかされました。
―具体的には?
H·O:例えば、知らない場所で知らない人々と...という想定が間違っていました。リサーチクエスチョン(その調査が答えを出そうとする疑問のこと)を作るには、その土地のこと、そこに住む人々や、その人々のありかたについてよく知っている必要があると学んだんです。講義を通して得た気づきや学びは他にもたくさんあって、例えば「フィールドで『お客さん』になってはいけない」ことを学んだ時はハッとさせられました。受講していなければ得られなかった気づきだと思います。
―フィールドワークをしてみたい場所や調査してみたい対象はありますか?
H·O:フィリピンの教会へ調査に行ってみたいです。私の友人のお母さまがフィリピン出身で、熱心なキリスト教信者の方です。小学生の頃は、友人に連れられて、教会が主催しているイベントによく行っていました。いつも、「フィリピンのイベントはもっと豪華なんだからね!」「みーんな毎週、集まるんだから」と話してくれていたのを覚えています。地域の人々が毎週顔を合わせて、祈って、近況報告をしあうようなコミュニティが身近ではなかったので、フィリピンにおいて、教会というメディアがどのように地域コミュニティに作用しているのか調査したいです。
―これから国際文化学科でどんなことを学んでいきたいと思いますか。
H·O:国際文化学科では、文化人類学だけでなく、歴史や、国際関係なども学ぶことができます。私がいま「常識」で、「当たり前」だと考えていることが、違う地域、あるいは違う時代では、まったくそうではなかったということを日々学んでいます。様々なひとびとのあり方、ひとびとの関わり方の多様性についてさらに学びを深め、私たちのあり方の可能性について考えたいです。

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