在学生・教員・卒業生の声
私は現在、神奈川県の公立高校で英語教師として働いています。毎日、どんな授業を展開していこうかと試行錯誤の連続ですが、やりがいのある仕事だと感じています。
成蹊大学での学生生活は今の私の仕事にとても役に立っています。特に、大学の協定留学を利用してイギリスのケンブリッジ大学に留学したことと、ゼミで学んだことが私の大きな糧となっています。留学については、3週間という短い期間でしたが、多くのことを学び感じる貴重な経験でした。特に日本のように自分の伝えたいことを相手が察してくれるわけではないので、自分から発信しないと相手に自分の言いたいことが伝わらないというコミュニケーションスタイルを肌で感じることができました。ゼミについては、私は英語教育、第二言語習得論を専門とする小野ゼミに所属していました。小野ゼミの良いところは、自分の学びたいことを自由に学ぶことができるところだと思います。私は卒業論文で、「教師がどのような手立てを講ずれば、学習者の学習動機を高められるのか」というテーマについて書きました。卒業論文はとても大変でしたが、丁寧に指導してくださる小野先生とゼミの仲間の助けを借りながら完成させることができました。卒業論文で書いた学習者の不安を取り除くことの重要性や、自己肯定感を高めることの大切さは授業づくりの際に常に留意しています。 教師として働いていく上で、多くの大切なことを成蹊で学べました。
※2019年4月から「英語英米文学科」に学科名称変更。
大学生活の中にはたとえ好きなことをやっていても、時にそれが無駄に思えるときや自分の人生には今後関係ないと思えるときがあるかもしれません。しかし卒業し社会人4年目となったいま、私には大学生活に無駄なものなどなかったと感じます。
私はゼミではミュージカル映画について研究し、ミュージカル映画の演出に隠された意味や作者の意図、その映画のテーマについて考えました。その映画がただ面白かったではなく、何をもって面白いと感じたのか、魅力を感じた点には作者の意図やメッセージがあるのではないか。ひとつの映画に対してそのような見方をしそれを論じたことは、口下手でものの良さを人に伝えることが苦手でだった私には非常に大事な経験であったと、社会人になったいま実感します。ミュージカルや映画とは関係の無い仕事をしているものの、社会人になれば映画が好きな人や知識のある人にさらに出会え、学生の間に好きな分野の知識と趣味を深めることができたゼミを選んで良かったと感じています。
授業だけでなく、総勢80人以上もいるような軽音楽部でたくさんの友人に出会いコミュニケーションを取ったことなども、大学生活でしかできない貴重な経験だったと誇れます。
それが如何に自分の人生にとって大事なものであったかは、なんでも後で気づくものかもしれません。学生には自分が選んだ好きなもの、受けなくてはならない授業なども与えられたものとして受け止め、様々な経験をしてもらいたいと強く思います。
※2019年4月から「英語英米文学科」に学科名称変更。
卒業後はメーカーに就職し、海外事業の管理を担う部署へ配属。現在は中国で、グループ会社の一体化やリスクの低減に向けた支援等の業務に従事しています。
学生時代は「国際政治」(日本の安全保障のあり方)と「文学」(比較文学/文化を通じた人間の普遍的価値観の探求)に関心を持っており、上記テーマを探求してきました。卒業論文執筆時には外務省でも勤務されていた墓田先生のゼミに所属。ゼミは少人数を対象としており、先生からは豊富な経験と見識に裏付けられた、密度の濃いご指導を頂きました。また北京大学へ留学、異文化を肌身で感じた時の衝撃は今でも忘れられない学生時代の思い出です。この時に感じた「相手の話に耳を傾け相手の考えを理解しようとする」ことの重要性は、社会人になった今こそより強く意識せねばと、現在でも日々心掛けています。
就職の際は、「大きな夢と高い目標」、「グローバルに活躍できるフィールド」を持ち、自分自身も成長できそうに思える会社を基準に就職活動を行いました。現在の仕事では、日中双方の多くの関係者が連携して将来像と計画を策定し、実行していくことが求められます。その中では意見が衝突したり、問題が発生することもありますが、その壁を乗り越え、国や地域を超えた関係者が一丸となり計画を完遂した時の喜びは一塩です。また自身が日本企業のグローバル展開の一翼を海外で担っているということを肌身で実感することが出来る点にも、日々やりがいを感じています。
わたしは在学中は文化人類学のゼミを専攻し、先生方の現地調査への同行や、ゼミの友人との自由旅行で、マレーシア、モンゴル、ネパールなどの国々を訪れる機会を得ました。その経験がひとつのきっかけとなり、人類学のものの見方やフィールドワーク、そしてそれまであまり関心のなかったアジアの諸社会に興味をもつようになりました。研究職を目指して、卒業後は都内の国立大学の大学院に進学しました。様々な研究機関で非常勤講師や研究員を務めた後、現在は九州の公立大学の文学部教員として、アジアを専門に比較文化の方法や意義を学生や同僚と共に考究しています。現在も毎年インドネシアの小さな島を訪れて、人の移動や歴史意識の動態などいくつかのテーマで研究をしています。
生きた人間の社会を対象とする人文社会科学系の研究は、時として不定解、あるいは解なしの問題を解き続けるような営みです。でも最近ようやくそれを少し楽しむことができるようになりました。研究成果を大学内だけでなく、どうやって調査地を含む社会に還元していくかが目下の課題のひとつです。必ずしも遠い外国にばかりいく必要はないと思います。友人と互いの個性を認め合うおおらかな大学環境の下で、ぜひ学生の皆さんには、自分の常識やアイデンティティが揺さぶられる経験を沢山して、身近な他者に対する想像力を大いに鍛えてほしいなと思います。