2021年3月6日(土)学園本館大講堂にて成蹊高等学校の第72回卒業式が挙行されました。例年は、来賓の方々や保護者の皆様にもご列席賜り、盛大に行われる卒業式ですが、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、卒業生と教員のみ参加、保護者の皆様には式の動画をご視聴いただく形となりました。凝念、卒業証書授与、学校長式辞と続き、在校生代表の送辞では、行事でも部活でもよきお手本となってくれた卒業生に向けて、心からの感謝と尊厳を込めたメッセージが送られました。そして、卒業生代表の答辞。こちらに一部ご紹介させていただきます。

「私たちの高校生としての最後の一年は、自粛生活と共に始まりました。受験生として本腰を入れなければならない時期だというのはわかっていても、先の見えないトンネルの中で不安に襲われ、身が入らないことも多い日々でした。それでも、オンライン朝礼で見る仲間の姿や、先生が繰り返しおっしゃっていた「一人じゃない」という言葉に言い表せないほどの温かさと安心感を覚え、何度も救われました。当たり前に人と会える時期ではなかったからこそ、当たり前のように側にいてくれる人の存在に大きな幸せを感じることができました。   

 私たちの学年は、最後の遠足も、文化祭も行うことができなかったため、誰も悪くはないからこそ、悔しい思いをたくさんしてきました。しかし、今振り返ってみると、この状況の中で「普通の学校生活」を送ることができたことも、たくさんの方の支えがあったからなのだと、感謝の気持ちでいっぱいです。毎朝、教室に行くと皆がいて、先生方の授業を受けて、食堂のパンを食べたり、他愛もない会話で爆笑したり、ケヤキ並木をゆっくり歩いて下校する。そんな些細な日常が本当に幸せでした。くじけそうになったことや、辛いこともあったこの高校生活を今こうして楽しかった、と言って振り返れるのは、ひとえにここにいる皆さまのおかげです。どんな時も味方でいてくれた保護者の皆様、本気で私たちのことを考え、愛情を持って導いてくれた先生方。そして、いつでも隣にいてくれる大好きな友達。皆様の存在があったから、私たちは今、自信を持って成蹊高校という温かい場所を卒業することができます。私たちは高校生活において、多くの選択をしてきました。それらが正しい選択だったかどうかは、今の私にはわかりません。今の私たちにできることは、これからもただ、がむしゃらに努力し続けることだけです。将来、高校生活を振り返った時に、「あの頃の自分の選択は最良のものだった」と胸を張って言えるよう、この場所で大切な人達からもらった強さと優しさを胸に、これから先の人生に挑んでいきます。」

3年間の思いが込められた、力強く感動的な答辞でした。最後に校歌斉唱、吹奏楽部によるお祝いの演奏に代わって、音楽科の先生方のピアノ演奏が行われました。

卒業生の門出を祝福し、これからのご活躍をお祈り申し上げます。