202439日(土学園本館大講堂にて第75回成蹊高等学校卒業式が挙行されました。
今年度の卒業
式はようやく従来の形式に戻り、ご来賓の方々、保護者の皆様にもご列席いただき本館大講堂で行うことができました。また、別会場ではライブ配信をご視聴いただく席も設けました
式の最後に、吹奏楽部によるお祝いの演奏も行われました。「3月9日」や「威風堂々」など心のこもった演奏に卒業生たちは胸を熱くしていました。


卒業生代表の答辞をこちらに紹介させていただきます。

 「柔らかな日差しに包まれ、開花を待つ桜の蕾の息吹が感じられる今日この日、私たちは成蹊高校を卒業します。
本日は、私たちのためにこのような晴れやかな式を挙行してくださり、心より感謝申し上げます。

三年前、私たちは新たな学校生活への期待と不安を胸に、この場に集いました。あの日から今日まで、長いようであっという間   だった高校生活。
かけがえのないたくさんの思い出がよみがえってきます。

クラスで団結して作り上げた文化祭。お揃いのTシャツを着て挑んだ体育祭。
みなで何かを達成することの楽しさを知り、いわゆる「青春」をすることができました。
くだらないことで大笑いをしながら帰った時間。にぎやかな話し声であふれかえっていた教室の光景。
テスト期間に友達と遅くまで残って勉強した記憶。
何気ない瞬間さえも、今は大切な思い出です。

しかし、蘇ってくるのは単に楽しい思い出ばかりではありません。
人前に立つことが苦手だった私が、今ここで、学年の代表として、答辞を読んでいます。

中学の頃、私はあらゆることから逃げていました。
高校では、そんな自分を変えるべく、する機会があったことは、恐れず、面倒くさがらずに挑戦し、生徒会役員、探究プログラム、留学、そのほかいろいろな課外活動を経験しました。

中でもよく覚えているのが高二の体育祭の選抜リレーです。私は小さいころから選抜リレーが苦手でした。
クラスの代表として期待されるのも、転んで恥をかくかもしれないのも嫌でした。
しかし当日第一走を走ることが決まり、私は思わず涙がこぼれそうなほど絶望しました。
それでも、同情しながらもいつも通り元気に背中を押してくれた友達や、一緒にリレーを走る仲間のやる気ある姿に引っ張られ、最後には気持ちを切り替えて全力でリレーを走りきることができました。
そうでなければ、このリレーはただの嫌な思い出として残っていたでしょう。

周りの人に支えられ、刺激されながら、こうして様々な経験をしたことで、少したくましく成長した今の私があるので
す。

これは、ここにいるみなに言えることだと思います。苦難や喜びを経験し、それぞれ誇りに思うことも悔やんでいることもたくさんあると思います。
すべてが思い通りにいったわけではないかもしれません。しかしすべての経験があったからこそ、今の自分があるのです。
そしてその成長の裏には必ず周りの友人や先生、家族の存在がありました。

答辞の言葉を綴りながら、支えてくださった皆さんへの感謝の気持ちが改めてこみ上げます。

まずは、大切な家族。
私のために
心配したり、悩んだり、たくさんの時間を使ってくれたと思います。
やる気に満ち溢れて将来を語ったかと思えば、現実を見て落ち込んだりしていた私を、いつもそばで見守ってくれました。
注いでくれた愛情に素直になれず、たくさん迷惑を掛けたと思います。それでもこれまで見捨てずに育ててくれて本当にありがとうございました。

次に、先生方。いつも私自身よりも私のことを信じ、可能性を見出してくださいました。
そして、教師として学問を教えてくださるだけでなく、人生の先輩として多くの大切な話をしてくださいました。
私たちの知らないところでもたくさんご支援くださっていたことと思います。
三年間本当にお世話になりました。

最後に、共に3年間を過ごしてきた同級生の皆さん。繰り返しになりますが、私は皆さんからたくさんの刺激をもらい、多くを学びました。
楽しい思い出を残
すことができたのもみんながいたからです。
私がともに学校生活を送った仲間たちは、自分とは違う興味関心、得意不得意、物事の見方や考え方を持つ素敵な人たちばかりでした。
今まで本当にありがとう。

高校を卒業するにあたって、二度と開けて戻ることができない扉から締め出される気分にもなります。
これまでの当たり前の日常は戻って来ません。明日になれば、見慣れた教室にはもう私たちが座る席はありません。
また、たくさんの大人に守られて生きてきた私たちですが、これからは成人として、これまで以上に自分自身に対して、そして社会に対しての責任を背負うことになります。

私たちの高校生活は、新型コロナウイルスだけでなく、世界中で今もなお続く紛争、さらには自然災害まで、当たり前の日常がいかに尊いものであるかを考えさせられる三年間でもありました。
何事も、終わってみて、失ってみて初めてその本当のありがたみを実感します。
高校生活も、日常も、周りの人の存在も、時には困難でさえも。

これから私たちが歩んでいく道の先には、素晴らしい出会いや経験がたくさん待っています。
そしてそれと同じくらい多くの困難が待ち受けているはずです。
そんな中でも、過去の後悔を引きずらず、未来を過剰に心配することなく、一瞬一瞬を大切に生きることが重要なのではないかと思います。

そして、自分たちの生活や支えてくれる人に対する感謝の気持ちを忘れずに、自分や周りの人、そして世の中のためにも、たくましく生きていきたいと思います。

それでも、私たちはまだまだ未熟で、立ち止まったり、くじけてしまったり、迷惑をかけてしまうことがあるかもしれません。
保護者の皆さま、先生方、どうかそんなときは、また温かく見守っていただけると幸いです。

最後になりましたが、今まで支え、見守ってくださったすべての方々に改めて感謝申し上げ、答辞の言葉とさせて頂きます。」

卒業式終了後、生徒会の役員から花束が贈呈され、本館前でクラスの集合写真、保護者の皆様と記念撮影を行いました。在校生も部活動でお世話になった先輩方のご卒業を祝うために本館前に集まり、門出を祝福していました。ピーチくんもお祝いにかけつけてくれ、卒業生の晴れ晴れとした笑顔が印象的な卒業式となりました。

卒業生の312名の門出を祝福し、これからのご活躍を心よりお祈り申し上げます。