校長ブログ「百代の過客」

東京2020オリンピック・パラリンピックを終えて

コロナ禍が厳しい状況にある中、安全対策を講じての2学期が始まりました。夏季休業期間中には、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催され、ステイホームの中、テレビ観戦で応援した方も多いと思います。

 1学期の終業式では、野老朝雄さんがデザインしたオリンピックとパラリンピックのエンブレムの話をしました。両方のエンブレムとも江戸伝統の「市松模様」(正確には組市松紋)を模した同じ枚数の方形を使い、二つの大会の調和性が考えられた作品です。このように、オリパラ両方に共通点を持たせ、日本の伝統を活かしつつ数学的にも緻密に計算されたエンブレムは、とても興味がそそります。野老さんの発想力は、建学の精神「個性の尊重」に繋がると思いました。

 また、2学期の始業式では、1964年の東京オリンピックで初めて使われ、世界に広がったピクトグラムについての話をしました。今回のオリンピックの開会式では、このピクトグラムを使った演出がありましたが、1964年当時、ピクトグラムを作ったデザイナー達は、多様性のある人たちが共存する未来に必要と考え、巨額な資金が得られる特許申請を固辞しました。この社会貢献の姿勢が、建学の精神「品性の陶冶」なのです。

 そして、始業式では、武蔵野市の聖火ランナーを務めた、本校を2002年に卒業した金子勇太様から貸していただいた「オリンピックの聖火リレートーチ」を見せることもできました。このトーチには、福島の仮設住宅で使われた廃材アルミが30%も使われているなどサスティナブルなうえ、新幹線を生んだ日本の最先端の技術を使ってとても軽くできています。聖火が燃え上がる先端は桜のマークになっており、日本の伝統も活かされています。また、トーチの正面の部分には突起があり、視覚障がい者でも分かるように配慮されているなど、人への優しさを感じました。

中学の始業式では、武蔵野市のサポートランナーであった3年生の生徒からも話をしてもらい、いろんな思いのこもったオリンピック・パラリンピックであったと改めて感じました。このトーチは、中央棟2階に9月中は飾ってありますので、是非とも見てください。