学科・大学院
国際文化学科の教員は、それぞれが世界各地を研究対象としており、長期休暇の際には研究のために世界に散らばります。そこで研究のために撮った、あるいは研究の合間に撮った写真は、普通の旅行雑誌などには載らない貴重なものばかりです。そのなかからごく一部を、ここで紹介したいと思います。
英国イングランド北東部にリーズという街があります。ここでは毎年8月9日にHiroshima & Nagasaki Memorial Daysというイベントが行われます。市民が集まって広島および長崎への原子爆弾投下の犠牲者を偲びます。2019年8月9日に私も参加してきました。遠く離れた英国の地で毎年こうしたイベントが続けられていることに感銘を受けました。
私の研究では、国内だけでなく海外での史料調査が必要となります。例えば、これはイギリスの国立公文書館(The National Archives)に所蔵されている史料で、今から約90年前にイギリス外務省が作成した外交記録になります。これらを分析し、『国際連盟と日本外交』(東京大学出版会、2021年)を出版しました。
2年毎に開催される現代美術の国際展覧会ベネチア・ビエンナーレの2022年のテーマは、イングランド出身でメキシコで活躍した女性シュールレアリストのレオノーラ・キャリントンの「The Milk of Dreams」でした。ケルト神話をきいて育ったキャリントンはメキシコの先住民文化の世界にも目を向けていきました。展覧会全体ではブラック・フェミニズムを扱った作品が目立ちました。
カイロの下町の桶屋の様子です。手仕事の伝統が息づいている様子がうかがえます。道具や材料で狭い部屋は埋め尽くされています。ここは馬具屋や看板屋など、昔ながらの小さな手工業の店がひしめくエリアで、看板屋では中年女性が手際よく大理石製の看板を着色していました。中東では女性を撮るのが難しい一方で、男性は頼むときさくに写真を撮らせてくれます。
両手を挙げた頭のない人が無防備に立ちつくす姿の彫刻。壁に暗い色調の絵画が並ぶここは、バルト海に臨むタリンにあるエストニア美術館の「第二次世界大戦後のアート」の部屋です。ソ連の一部として共産主義体制に組み込まれ、思想や生活を統制される恐怖や不安が伝わってくる作品です。同じセクションにはスターリンをモチーフにした絵も展示され、ソ連時代の歴史と記憶を伝えています。
青空の下、政府専用ヘリの前で自撮り。ドイツ首相官邸の中庭です。夏の終わりの週末に行われる「連邦政府オープンハウス」では、全省庁が建物を市民に開放し、展示や資料で政府の業務を説明します。外務省では国際連合に関するクイズに答えると国連カラーの水色のアイスをもらえます。エコバッグやIDホルダーなどのグッズも無料で配られ、大人気です。ナチ独裁を体験したドイツで政治の透明性が何よりも重視される一例です。
パキスタンとインドのワガ国境での、国旗降納セレモニーの様子です。手前がパキスタン、奥がインドの兵士です。トサカのような飾りなど、制服は良く似ています。両国は関係が悪く、しばしば国境も緊張します。国旗掲揚・降納セレモニーは観光化していて、ナショナリズムを儀礼的に発散させる場として機能しています。インド側に観光客が沢山いるのが見えます。パキスタン側も地元の観光客が沢山来ていました。
フランスの首都パリを代表する建築物のひとつ、エッフェル塔がいつ建てられたかご存知ですか。エッフェル塔は、1889年に革命100周年を記念して開催されたパリ万博のために建てられました。次の1900年パリ万博では、グラン・パレ、アレクサンドル三世橋、オルセー駅(現在のオルセー美術館)が建てられるなど、現在もパリを象徴する建築物のなかには、もともとはパリ万博のために建てられたものが多くあります。
ニューヨークタイムズで「ケチュア・ラップの女王」と称されたレナ―タ・フローレスさんにインタビューをしました。ケチュア語はスペイン人が南アメリカに到来した当時、アンデス地域で栄えていたインカ帝国の公用語で、現在ペルーをはじめとする複数国に約800万人~1000万人の話者がいます。レナ―タさんはZ世代で、YouTubeにアップしたケチュア語によるカバー曲をきっかけに国内外で有名になりました。