学科・大学院

卒業生の声

小林千晃さん
(独立行政法人国際協力機構(JICA)職員)

学園広報誌「SEIKEIJIN」Special Interview 蹊を成す人


天野裕美さん
(国連開発計画(UNDP)スーダン事務所
勤務)

学生時代から国際協力に関心があり、在学中に1年間イギリスに留学し、卒業後は、人権学修士号をイギリスの大学で取得しました。その後、NGOでのインターン(ベルギー)、青年海外協力隊員(ヨルダン)、外務省専門調査員(カタール)の任務を経て、現在、国連開発計画(UNDP)スーダン事務所で、ダルフールの青年を対象としたプロジェクトを担当しています。国際色豊かな環境で仕事をする中で、異文化交流、理解の大切さを日々痛感しています。

在学中は、文学部文化学科国際文化コースに所属し、川村陶子先生の国際関係ゼミを専攻しました。文化学科は、現在の国際文化学科と現代社会学科の前身です。私は、これまでの海外経験から、異文化に寛容になってきたと思っているのですが、在学中にさまざまな文化を学び、考えることができたことも大きな要因となっています。川村先生のゼミでは、ヨーロッパにおけるイスラム教徒の移民とホスト社会の人びととの文化軋轢について、特に関心を持ちました。さらに、在学中に「9.11」の同時多発テロが起きたことから、イスラム教文化と他文化の共存についても非常に考えさせられました。

当時同じ学科に設置されていた社会学のクラスでは、市民社会やNPOの活動について学ぶことができ、国際、国内協力のあり方、かたちについても勉強することができました。

さらに、成蹊大学はアットホームな雰囲気があり、ゼミ指導教員の川村先生をはじめ多くの教授の方々と、授業外でもいろいろお話をする機会を得ることができました。地方から出てきた私の不安をやわらげ、さらに視野を広げていただいたと大変感謝しております。

卒業後、大学院において人権を学んだ際も、文化や社会という要素は私にとって非常に重要であり、実際にイスラム教社会を見て学ぼうと、青年海外協力隊としてヨルダンに行くきっかけにもなりました。現在も、ある国を知るにあたり、その国の政治や経済状況に加え、文化社会的要素にもしっかりと目を向けることで、より深く、その国やその国の人々のことを理解できると考えています。こういう視点を持つことができたのは、成蹊大学文学部国際文化コースで学び、経験した4年間のおかげと思っております。

砂田恵理加さん
(国士舘大学政経学部政治学科 教授)

成蹊大学を卒業してから20年ほどたちますが、「イギリス文化史」の初回の授業で、担当の竹内敬子先生が、「なぜイギリスのような小さな国が、世界の帝国になるほどに勢力を伸ばしたのか、不思議に思ったから」とご自分が研究者を目指すようになったきっかけについて話をしてくれたことを良く覚えています。それまで与えられた課題をこなすことが勉強だと思っていたのですが、本当の勉強は自分が疑問を抱く所から始まるのだと、はじめて理解しました。その後、私は、竹内先生が当時開講していたジェンダーについて学ぶゼミに所属し、卒業後はアメリカ歴史研究のために他大学の大学院に進学し、留学などを経て10年ほど前から都内の私立大学で教員をしています。

大学院生として、また教員として数々の大学を見てきましたが、成蹊大学文学部国際文化学科には、ここにしかない良さがあります。特に、多角的な視点を持ち、その隔たりが歴史的なものであるにせよ、地理的なものであるにせよ、自分とは異なる他者の立場から物事を考察することの重要性について、さまざまな形で学ぶことができました。

私の在学時、「国際文化学科」は「文化学科」と呼ばれていましたが、重層的で複雑な意味を持つ「文化」と真摯に向き合うという姿勢が、この名称にも表れていると思います。穏やかながらも、社会的な関心が高い学生が多いところが、この学科の大きな特徴でしょう。ひとつの正解を求める学問ではなく、一人ひとりが抱いた関心を大切に、固定概念に縛られず物事を幅広い視野で深く探究していく、そのプロセスを学科の方針として先生方が大事にしている結果ではないでしょうか。

世の中にはさまざまな職業がありますが、私には教員という多くの人と出会える仕事が合っているようです。また、遠い時代に生きた人々に疑問を投げかけ、対話をしていく歴史研究という学問も、結局は同じように人と会う仕事だと思います。自分の常識のみに縛られず、さまざまに異なる多様性を踏まえたうえで、人と向き合うという姿勢は、この学科での学びの中で身につけることができたものと感謝しています。