英語英米文学科の学び

社会に働きかける Make a Difference.

授業の事例から:「セミナー 600/f」履修学生インタビュー

日常と社会に潜むもの

ー文学を通して人種を学ぶ

―お二人は「人種」をテーマにした「セミナー600/f」や「英語圏文化324<人種>」を履修されています。このテーマに興味を持ったきっかけを教えてください。
K・R:中学生の時に社会の授業で人種の問題に触れてから、アメリカの人種差別に興味を持つようになりました。また、1年次に履修した「英語圏文化入門200」で人種について学んだこともあり、より深く具体的に学びたいと考えました。奴隷貿易を起点とするアメリカの人種差別は現代の視点から見てとても残酷で非人道的なのに、どうして当時の人々の日常の一部になってしまったのかを探求したいと思ったんです。
G・R:2年次前期に人種をテーマにした講義を受けた際、人間が人間として扱われない、非人道的な行為がアメリカ南部全体で行われていたことに対して驚き、またその歴史を踏まえた上で、Black Lives Matterなど、人種に関する運動や問題が未だなくならないことに疑問を抱いたのがきっかけです。また、個人的に読んだソロモン・ノーサップのTwelve Years a Slave という奴隷の手記にも大きく影響を受け、より人種について学びたいと思いました。
―講義を受ける前と現在で、「人種」について考え方が変わった点や気づきがあれば教えてください。
K・R:受講するまで、人種に関しては漠然とした印象を抱いていました。「セミナー600/f」ではチャールズ・B・デューのThe Making of a Racist という歴史学者の回想録を扱い、差別する側の視点や差別意識が植え付けられていく過程を学びます。人種差別というものがどれほど滞在的なのか、そして差別の被害者だけでなく加害者の思考も蝕んでいくのかなど、人種の複雑さや見方について日々新しい気づきを得ています。
G・R:講義を受ける前は、人種差別や偏見は積極的な行動であると認識していました。しかし、講義を受けてから、それは長い歴史に影響された考え方であると認識したんです。だからこそ、法や制度を変えても人の考え方は変わらずに、現代まで残ってしまう。人種に対するネガティブな考え方や偏見を取り除く難しさを実感しました。
―英語英米文学科で得た学びを、今後社会でどのように活かせると思いますか?
K・R:英語英米文学科での学びは全て社会に役立つことだと思います。私が勉強している「人種」に関しても、決して他人事ではありません。負の歴史を生み出し続ける人種差別を学び、「人種」にどう向き合うかを見つめ直し、そしてその意識を持って生活することで、周囲で起き得る人種差別に目を向けることができるようになると思っています。文学、歴史、文化の研究をもとに自分の知識を深めつつ、新たな可能性を模索して批判的思考力や想像力を育むことは社会に出てからも他者と関わるときや自分の考えを発信する際に必ず活かせる学びです。
G・R:当時の人々の体験を描く文学作品や史料を通して歴史や文化を学ぶ際などは、情報を全て鵜呑みにするのではなく、常に客観性を確かめながら情報の取捨選択をしなければならないので、批判的思考力が高められたと思います。また、人種について学んだことで、多様性を理解し、日常に潜むような人種に対する問題に敏感になったと感じ、このような感覚は今後社会に出て人種問わずあらゆる方と出会う場面で役立つと考えています。

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