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卒論執筆の事例から:執筆者インタビュー

ジェンダーと言語を考える

ー言語の背後にあるもの

―「ジェンダーと言語」をテーマに『ウェブメディアが報道する女性政治家の姿』という卒業論文を執筆されました。このトピックを選んだきっかけを教えてください。
T・K:英語英米文学科での学びを通じて、性別によって「男だから~/女は~」と価値を付けたり、「こうあるべき」といった理想を反映させたりする「ジェンダー」という考えが、「言語」によって表現されていることを学びました。どちらも両者がとても深く関係していることについてもっと学びたいと思うようになり、このテーマで研究を進めようと思いました。
―その具体例は?
T・K:例えば"bachelor"と"spinster"という単語。前者は未婚男性を指す言葉ですが、自ら進んで独身でいる男性という意味合いです。後者は未婚女性を指す言葉で、婚期を逃した女性を意味します。どちらも同じ未婚である状態を指すことには変わりないのに、そこには「こうあるべき」という考えが介在しているんです。
―なるほど。卒論内容を簡単に教えていただけますでしょうか。
T・K:政治の世界でマイノリティーの立場にある女性がマスメディアによって報道されるとき、どんな点が注目されているのか、またどんな言葉によって表現されているのかを調査しています。一般的に、女性には「上品・従順・家庭的」、政治家には「積極的・リーダーシップがある・力強い」などの姿が期待されています。このため、女性政治家の場合はどちらの面からも評価されることになります。ここにダブルバインド(2つの矛盾したメッセージ・どちらに転んでも批判される)が生じていると考え、これを研究しています。
―卒論執筆前と現在で、「ジェンダーと言語」について考え方が変わった点や気づきがあれば教えてください。
T・K:疑いなく、当たり前のものとして何気なく使っている言語というものに、実は様々な価値観や理想が含まれていることを知りました。このテーマで卒業論文に取り組んでいなければ気が付かなかったことだと思います。
―4年生になった今、これまで学んだことは卒業後にどのようなかたちで自分の役に立つと思いますか?
T・K:日常に存在する当たり前の事実や事柄を客観的に、複数の視点から捉える力がついたと思います。この力は、これから生きていくうえでなにかに新たに出会うとき、それらに対し柔軟に、複数の選択肢から考えることにつながると思います。ですので、価値観に縛られず、様々なことに挑戦するきっかけをもたらしてくれると思っています。
―卒論執筆を考えている後輩へ一言お願いします。
T・K:興味関心のあるトピックを見つけ、そこからどう展開するか、どのようにオリジナリティを出すのかを考えながら執筆を進めることは非常に大変です。ですが、これまでの授業で得たことを土台に、学びの集大成として取り組めば大きな達成感を得られると思います。長い道のりですが、楽しみながら乗り越えてください。応援しています!

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