日本文学科の学び

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授業の事例から:「日本語学演習I~IV/a」履修学生インタビュー

調べる力を育む

ー調査資料の多様性

―現在、みなさんが「日本語学演習Ⅰ・Ⅱ」(ゼミ)などを通じて調べているトピックについて教えてください。
I・M:私は現代日本語における漢語の用字について調査しています。現在示されているのは常用漢字表ですが、その前身である当用漢字表のときに、漢字表に含まれていない字を書きかえる指針として、国語審議会から「同音の漢字による書きかえ」が発表され、多くの書きかえが定着しました。しかし、「惣菜/総菜」「棲息/生息」「衣裳/衣装」のように、どちらも使われている熟語もあります。「書きかえ前/書きかえ後」のどちらの漢字が使われていることが多いのか、その違いにどのような傾向が見られるのかについて調べています。
―どのように調べているのでしょうか?
I・M:コーパスを用いての調査、新聞や雑誌の調査などに加え、スーパーマーケットの「そうざい」売り場や書店に行き、ポップや商品実物の商品名で使われている漢字も調べ、書かれ方の傾向について調べています。
※コーパス...テキストや発話を大規模に集積しデータベース化した、言語研究のための言語資料のこと。
―コーパスって、言語系の研究で良く耳にします。
H・N:私は「愛し(愛しい)」という語について調査しているのですが、私も「現代書き言葉均衡コーパス」などを使用しています。1年次の講義内で「愛し(愛しい)」を調べた際、「かわいそう」「気の毒である」と思うものに対して使われるという、私にとってなじみのない用法があることが気になったんです。現在はコーパスを用いて集めた用例を項目ごとに分類し、用例数をまとめ、現代語における用法の特徴を探っています。
―1年生の頃から気になっていたトピックを深く掘り下げているんですね。
E・K:その「ね」が、まさに私の研究テーマです。私は会話内の終助詞に着目し、「ぜ」「ぞ」「な」などの男性語、「わ」「わよ」「かしら」などの女性語、「ね」「よ」などの汎性語がどのような使われ方をしているか、使用頻度の変化や使用の衰退について調べています。Amazon Prime Videoなどのサブスクリプションを利用して、ドラマの登場人物の台詞を書き留めたものを調査資料としています。
―ドラマが調査資料に!
E・K:はい。高校生の時には娯楽として見ていたものが、いまは調査資料になっていて、身近なものに対する視点が変わったなと感じています。もちろん、大学図書館の文献にもあたりますよ。ネットの情報は検索すればすぐに出てきますが、信頼性に欠けることも多い。文献は目的の情報にたどり着くまでが大変ですが、信頼できます。状況に応じて使い分けることを意識しています。
―ゼミという環境は「調べる」ことに対してどのように役立っていますか?
H・N:語の研究って、内省だけでは完成しないんです。データベースの文字列からでは読み取れない印象を、同じ言語に興味を抱いた仲間から直接教えてもらえる環境はとても貴重だと感じています。
I・M:自分の調査結果に対するフィードバックをもらえるので、研究を進めるモチベーションになっています!
E・K:先生との距離も近く、調査方法などについてこまめに相談できるので、研究が進めやすいです。

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