日本文学科の学び

伝える

授業の事例から:「日本文学演習I~IV/d」履修学生インタビュー

誰に、何を、どのように伝えるか

ー相手、言葉を見つめて

―2022年度の平野ゼミの活動内容を簡単に教えてください。
T・Y:前期は御伽草子『鼠草紙(ねずみのそうし)』の読解と発表、後期は『鼠草紙』の魅力をわかりやすく発信することをめざして欅祭(大学祭)に出展するほか、オンラインでゼミ祭を開催します。「古典×エンターテインメント」をテーマに、楽しく古典を学んでいます。
T・T:欅祭、ゼミ祭では「歌占」(和歌による占い)を目玉のひとつにしていて、私たち学生が来場者のお悩みを聞いたうえで、歌占の結果を和歌の解釈とともにお伝えしています。
―歌占の結果を相手に伝える際に意識している点はどこでしょう?
T・Y:まずは相手の話をよく聞き、お悩み内容や背景をしっかり理解することを意識しています。和歌の解釈を伝えることに終始するのではなく、相手に寄り添ったかたちで和歌の解釈を伝える。そして、どんな占いの結果でもお悩み解決につながるように伝え方を工夫し、相手に「相談に来てよかった」「和歌っておもしろいな」と感じてもらうことを大切にしています。
―お二人はゼミで広報係を担当されていて、SNSも積極的に更新されていますね。
その際に大切にしていることを教えてください。
T・Y:伝える層(ターゲット)を意識した発信を心がけています。平野ゼミではInstagramやFacebook、Twitterやウェブサイトなど様々なメディアで情報を発信しているのですが、例えばInstagramは学内向けなのでラフな雰囲気の投稿を、Facebookは学外向けでゼミの顔となる発信源であるため、学びの内容を正確に発信するなど、それぞれのメディアの特性を考えながら、伝えたい内容と相手によってメディアを使い分けることを大切にしています。
T・T:「ゼミ」に関する投稿と聞くと、堅い印象を持つ人も多いと思います。何気なくSNSを眺めている人が多いなかで、どうしても友だちやインフルエンサーの投稿より優先順位が低くなってしまう。だから、動画を作成したり写真に文字を入れたりしてなるべくポップな印象を持ってもらい、友だちやインフルエンサーの投稿の延長線上としてゼミの活動内容を知ってもらえるように心がけています。
―平野ゼミや日本文学科全体の学びを通して、得られたことを教えてください。
T・Y:「調べなおし」の習慣が身につきました。相手に何かを伝える際、まずは自分がその内容を正確に理解している必要があると考えています。この「調べなおし」の習慣はつまり「復習」ですから、自分自身の学びを深めるうえでも役立っていると思います。
T・T:言葉に対する意識が変わりました。僕は日本文学科で『おくのほそ道』などの古典を含めた文学研究をしてきたのですが、文献や作品に対する解釈は人それぞれ。正解がない中で多くの仲間と議論していく環境は、とても刺激的です。その過程で、昔の言葉をどのように読み解くか、そしてその解釈をどのように相手に伝えるかについて意識が高まり、言葉に対するアンテナが高くなったと感じています。
―ゼミ形式の魅力はどんなところでしょう?
T・Y:平野ゼミは3年生・4年生それぞれ10名くらいの少人数制ゼミなので、特に意識しなくても自然に周りと仲良くなれます。3・4年生の縦のつながりもできますし、とても楽しいです。少人数だと一人ひとりが担う役割も大きく、自主性や積極性も磨かれると思います。
T・T:自分のやりたいこと、好きなことを追求できる点です。尊敬できる先生や先輩、仲間たちといっしょに興味のあるテーマについて深く学ぶことができるのは、ゼミならではの魅力だと思っています。

関連リンク