校長ブログ「百代の過客」

カオスなインドとクールなシンガポールNo1(アジア教育視察)

 8月19日(月)から26日(月)にかけて、アジア教育視察研修(主催:ISA)に参加し、インドとシンガポールの教育の現状を見てきました。

 ニューデリーのインディラ・ガンディー国際空港に到着すると、放し飼いにされた麻薬犬が吠える中、言い合いの喧嘩に人だかりが出来ている状況に遭遇。喧噪の中、バスに乗り込むと、4車線の道路を5列や6列になって車がひしめき合い、ほとんど信号のない中、野良牛や人が道路を歩く日常が目に飛び込んできました。

空港の麻薬犬
信号のない道路で行き詰まる車
歩道にいる野良牛(イスラム教にとって神聖な動物のため、手は出さない)

 そんなカオスな状況の中、2日目からは学校見学が始まりました。最初に伺ったデリーにあるSuncity Schoolでは、入り口では生花で作られたレイをかけてもらい、生徒のコーラスが流れる中、入校しました。この学校では、インドツアーに参加した日本の生徒達に対する歓迎式や、日本の生徒が書道を教える授業の様子が見られました。
ここでの一番の驚きは、そのツアーに参加した唯一の中学生が本校中学3年生の水野咲耶さんであったことです。水野さんの臆せず前向きにインドの生徒達と接する姿に、「私も負けられない」と思ったほどでした。

歓迎式で挨拶する水野さん
書道を教えるプログラムでの一光景
学校でのランチ(もちろんインド料理)
学校玄関においてのコーラスでのお出迎え

 3日目に伺ったLotus Valley international School では、アライアンスの生徒達が校内を案内してくれました。授業では、自分から意見を言わないと評価されないため、誰もが手を挙げて積極的に授業に参加していました。また、学校の先生達との懇談では、ICT教育などの先進性が分かりましたが、その熱い語り口に質問を挟めない自分が情けなかったです。

アライアンスの生徒の熱心な説明
社会科学の授業風景
先生達との懇談の際の一枚
校長先生と自撮りしました

最後に、水野さんのツアーに参加しての感想文を載せさせて貰います。

 「私は今回、6日間のインド研修に参加しました。プログラムを知るまで、インドに行きたいと思ったことは一度もなく、インドについてもよく知りませんでした。しかし、このプログラムを知り、インドに行く機会など今後人生で一度もないと思い、参加を決めました。日本でインドのことについて報道される時、必ず貧しい国として紹介されていて、私はインドを貧しい国だと思っていました。しかし、インドに到着した瞬間、この考えは覆りました。飛行機の中で見えたものは高層ビルがたくさんあり、現代的で日本とあまり変わらない景色でした。 私はここで、日本ではインドの片面しか報道されていなかったことに気がつきました。しかし2日目に市内を観光する機会があり、バスで市内を見ている時、私は驚愕しました。私とあまり変わらない年齢の子が、信号待ちをしてる車の窓をたたき、花を売っていたのです。それまでインドの現代的な街並みしか見てなかった私にはとても衝撃的で、インドの現状をはっきりと感じることが出来ました。また、高いビルの骨組みだけが残っているところが多くあり、1度建てたあとに解体ができなくなっているのではないかとインドの課題を多く発見できました。世界遺産の建造物を見ている時には、東南アジア人が珍しいのか、多くの人に写真撮影を頼まれたりしました。
 
 学校で現地の学生と交流した際には、学生たちは自分たち日本人よりも遥かに英語が堪能で、日本人の英語教育がまだまだ足りていないということを実感しました。また、学校には学生の得意なことを尊重する、という教室があり、学生自らが作った立派な恐竜の模型が展示されており、外見は似ているものの、日本と全く違う様子でした。私が行った現地の学校には食堂があり、朝ごはんと昼ごはんをブッフェ形式で食べるとういう仕組みになっていました。小さな子どもから高校生まで、みんなが同じ建物内で過ごしていることに驚きました。日本とは全く違う学校のスタイルでした。

 私は現地でホストファミリーの家に泊まりました。インドは人口が多く、場所を取る一軒家を建てることがないのか、同じプログラムに参加した人たちのホームステイ先も、全員がマンションやアパートでした。ホームステイ先はとても綺麗でした。報道されていたインドのイメージから、勝手にインドだからと少し汚い印象を持っていた私にはかなり意外なお家でした。ホストファミリーは私にとても優しく接してくれて、ショッピングモールに連れて行ってくれました。別れの際にもたくさんのお土産を持たせてくれて、本当にたくさんの気遣いをしていただきました。ホストファミリーには感謝の言葉しかありません。 私のホストファミリーは、ホストファザーがインド人、ホストマザーがウクライナ人でした。インドに来て、ウクライナ人と話すとは思ってもいなかったのでとてもびっくりしました。ホストシスターは、ロシアとウクライナの戦争によって、親戚と5年間も会えなかったということなど、さまざまなことを話してくれました。しかし私は、プライベートのことを質問していいのか分からず、ウクライナ侵攻についてどう感じているのかなど、気になったことを聞くことができませんでした。もう二度と聞く機会がないかもしれなかったのにも関わらず、聞けなかったのがすごくもったいなかったので、今後は気になったことはすぐ聞くという癖をつけたいと思います。
 
 私は今回のインド・デリー研修で、本当に恵まれた環境で経験ができました。日本とは全く違う国を見て回り、先進国とは違う、多くの発見をすることができました。インドに行く前は、インドに対して、貧しい、汚い、といった印象しかありませんでしたが、今回行ってみて、都市部は日本と同じように高いビルがたくさんあり、有名な企業も進出していました。しかし、当初のイメージと同じように、貧しい人も多くいて、インドにもまだたくさんの課題が残されていることが分かりました。また、インドだけではなく、日本にも英語力や個性の尊重といった課題が多く残されていることを知りました。海外に行き、初めて日本の良さ、課題について気付くことができました。今回の研修では、自分の英語力は全く役に立たないと実感しました。また、積極性がないとせっかくの機会を十分に活かせないということも学びました。2学期から、新たな気持ちで英語力を鍛え直し、近いうちにまた海外に行って自分の経験値を上げていきたいと思います。」

 素晴らしい感想を有難うございました!!

ホームステイ先にて
頑張った水野さんと一緒に