校長ブログ「百代の過客」

山極壽一先生講演会「思春期の学びとは何か」

 1月16日(木)、成蹊学園本館大講堂において、人類学者・霊長類学者で、京都大学の総長もなされ、現在は総合地球環境学研究所の所長である山極壽一先生が、中学校1年生向けに講演をして頂きました。

 山極先生は、ゴリラ研究者の第一人者として、とても著名な方です。今回の講演会では、ゴリラの生態などを事例に、人間の関係性やコミュニケーションのあり方について、お話しいただきました。

生徒向けポスター

 例えば、中学1年生は多感な時期ですので、生徒間でのちょっとしたいさかいが起こることがあります。先生は、他者との関係について、「ゴリラは喧嘩をしても他のゴリラが仲裁をしてくれる」、「勝とうとしない」と言った後、「喧嘩は仲直りするためにある」と話されました。私もゴリラのコミュニケ―ションには、我々人間にとって学ぶ点が多いと感じました。そして、中学1年生(12~13歳)の時期は、「思春期スパート」として、「社会的環境の中で、他者と自分との間を調整し、自分の位置を構築する時期」であると語って頂きました。生徒にとっても、これからの学校生活の中で、如何に人間関係を構築し、どのようにしてコミュニケーションをとっていくかを考えた時間となりました。
 また、山極先生は、コロナ禍の状況が改善され、IT社会が進展する中、共感力の重要性も説いてくれました。私は、本学園の建学の精神の一つ「品性の陶冶」を簡単に説明する際、「共感力を育むこと」と話しています。本校の考え方にまさに合致する話でした。
講演終了後、多くの生徒が手を挙げて質問をしました。このことは、本講演会が生徒たちの心に刺さった証だと感じています。先生が最後に話されたように、好奇心を忘れず、言葉だけでなく、気持ちを行動で表せる生徒になることを心から期待しています。
山極先生、本当に有難うございました。

講演する山極先生
質問する生徒
メモを取りながら楽しそうに話を聴く生徒達