本校では、この3年間長崎県の五島列島をフィールドとして、探究学習を展開してきました。今年度から、フィールドをタイのバンコクに移し、「スタートアップキャンプ in バンコク」として、実施することになりました。中学3年生から高校2年生までの72名の応募者から、論文で31名を選出し、8月26日から5泊6日の研修に向かいました。
今回のスタートアップキャンプは、探究学習特化型の内容で、5月から8月中旬にかけて事前研修を行いました。31名を6つの班に分け、それぞれが決めたテーマに沿って調べた課題を設定し、本番ではその解決の糸口を探るべく、様々な場所を訪れて、最終日に自ら設定した課題を解決するビジネスプランを発表するものです。そのため、事前研修では、簡単なタイ語の習得にも取り組みました。
1日目は移動日で、バンコクのホテルでタイ料理を堪能し、今回お世話になったマニマニタイランドの渡邊様から起業した体験を伺いました。そして、2日目からはいよいよ研修のスタートです。午前中は、世界遺産のアユタヤ遺跡を訪れ、タイの歴史を学びつつ、象に乗るというタイならではの体験をして、午後からは各班のテーマに沿った見学先に向かいました。








各班のテーマは、物流、交通、観光、食品、福祉、教育で、私は観光班と一緒に廻りました。観光班の午後は、オートーコー市場とワット・パークナムです。地元の市場では、匂いが気になるドリアンや切りたてのココナッツジュースを口にしながら、どうしたら観光資源として活性化できるかなどの視点で見学しました。また、ワット・パークナムでは、エメラルドに輝く最上階の天井画や69mの高さを誇る黄金の仏像など、観光客に一番人気である理由を探ってきました。晩御飯は、どの班もフードコートで様々なタイ料理にチャレンジし、夜のミーティングです。



3日目は、午前中アサンプション高等学校との学校交流です。学校に到着すると、生徒達が列になって拍手で我々を出迎えてくれました。開会式の後、タイのパフォーマンス体験やお菓子作りなどをバディ生徒と共に行い、その後は自分たちの取り組んでいる課題についての話し合いも行うことができました。閉会式では、生徒達が大きな声で本校校歌を披露すると、アサンプションの生徒達が驚いたように聴き入っている姿が印象的でした。海外における学校間交流は、生徒達の成蹊への愛着心が更に膨らんだような気がしました。午後は、タイ国政府観光庁に伺い、鹿野様から様々な観光への取組についてお話をいただき、生徒達にはとても参考になる日となりました。そして、夜のミーティング前には、本校卒業生で紀伊國屋書店バンコク支店に勤務されている福島様にタイのチェンマイ大学への留学体験や現在のタイでの生活についてなど、生徒にとって身近な話を聴くことができました。








4日目は、メークローン市場と水上マーケットというタイ観光では欠かせない場所に向かいました。列車がお店ギリギリを走るメークローン市場、水上からタイのお土産を買うシステムの水上マーケットなどでは、何が観光客を惹きつけるのかなどを考えることができました。午後は、渋滞を避けるためにBTSと呼ばれる電車で移動し、早めにホテルについて最終発表のためのミーティングに入りました。観光班の面々は、市場で購入したタイの服装に着替え、気合を入れての話し合いです。他の班では、タイの雑踏の中に入って、街頭インタビューを行ったところもあり、生徒達の積極的な姿勢に課題解決への意欲を感じました。夜には、バンコクで起業された小宮様の講演を伺い、プレゼンに向けてのラストスパートです。





5日目は、タイ国日本人会の島田会長をはじめ、タイ成蹊会の同窓生の方々、今回訪問先としてお世話になった三菱商事(株)や紀伊國屋書店の方に加え、タイの塾関係者と本校を進学先に考えている小中学生の方々を迎え、遂にプレゼンが始まりました。どの班もあらかじめ考えていた課題が解決済みであったり、既にその他の方法が模索されていたりという壁にぶつかりましたが、それを乗り越え、新しい案を絞り出していました。パワポの作成で睡眠不足の中、班の力を結集させてのプレゼンは感動的でした。来場した方々からも多くの称賛の声があがり、生徒にとっても達成感のあるものとなりました。午後は、チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットに行って、タイパンツやドライマンゴーなどのタイ土産を購入。プレゼンを終えた生徒達の充実した顔は、とても素敵でした。そして、夜のフライトに臨み、翌朝羽田で無事解散となりました。
多くの方々の支えがあって、この研修が成り立ちました。ご尽力いただいた方々には感謝の言葉しかありません。そして、来年もタイのバンコクでこのキャンプを行い、生徒の進化をお見せしたいと考えています。有難うございました!!





