研究

経営学部藤田玲子

観光とコミュニケーションに関わるコンピテンシー評価指標の開発

観光立国をめぐる現状

日本政府は2003年に観光立国宣言を出し取り組みを行ってきました。多くの訪日外国人を呼び込み国内での消費を促し、経済を活性化することが日本の将来には重要となっています。様々な観光施策の中で、課題の一つは、観光現場で働く有能な人材の不足です。観光業で活躍するためには、外国語能力や異文化コミュニケーション能力が欠かせません。私は英語教育に携わっていますが、有能な観光人材を育てるためには、言語表現などを教えるだけでは片手落ちではないかと考えました。観光現場でホスピタリティを提供するためには、どのようなコミュニケーション力が必要でしょうか。この研究では、それを明らかにするために、ホスピタリティに関する文献を整理したり、現場でゲスト対応をしているプロの方々にインタビューを重ねています。

観光立国をめぐる現状

観光現場でのコミュニケーションとは

調査では、たくさん興味深い話を聞くことができました。ホスピタリティの現場では挨拶や笑顔が大切なことは想像できると思いますが、それ以外にも姿勢や手の動きなど、非言語で伝わるコミュニケーションにも注意を払うと言います。またゲストのニーズを把握するため常に観察をし、必要あればタイミングよく声をかけることがゲストの満足につながります。例えば、多くの日本人客は自分からクレームをしない傾向があるので、様子から察して声をかけ不満のまま帰らないように注意を払う必要が往々にしてあるとのこと。一方で、外国人客の多くは不満があればその場でクレームをして解決する傾向が強いので、適切な謝罪や代案を出すなどの対応スキルが求められるそうです。このように、異文化による言動の違いを理解しておくことも必要になるのです。また、外国人のスタッフの話からは、英語の初心者はゲストに不快感を与えてしまうような言い方を意図せずしている場合があることがわかりました。お願いしたい時にshould やmust を使用してしまい、命令のような印象を持たれてしまうとか、「お待ちしておりました」と言いたくて、I've been waiting for you(遅かったですね)と言って、待たせてしまったか?と思わせてしまうことも。このような言語的ニュアンスの知識も大切ということですね。

観光現場でのコミュニケーションとは

<インタビューにご協力いただいたホテルのひとつThe Okura Tokyoにて>

観光教育とコミュニケーション教育

観光は人と人との交流であり、コミュニケーションがその潤滑油です。今後は明らかになったことを、言語、非言語(身体表現、心構えなど)、そして対人スキル(異文化理解、適応力、判断力など)別にまとめ、観光現場におけるコミュニケーションの重要性を幅広く伝えていきたいです。また、観光人材育成のコミュニケーション教育に役立つような資料を作り、学生さんや教員、そして現場などに提供したいと考えています。

Profile

経営学部

藤田玲子

専門分野
英語教育、観光教育
担当授業
Business English、Topics in Global Business、International Business、Area Studies、基礎演習、上級演習、College English など。

各学部サイトでは学部・学科の基本情報の他、教員と学生の距離が近いことを特色とする少人数のゼミ・研究室の様子を知ることができるコンテンツなど様々な情報発信を行っています。