大学紹介

学長挨拶


未来を創る人のために

学長 森 雄一

二十世紀の初頭、当時の画一的な教育に疑問を感じていた一人の青年教師が、「成蹊園」という名前の私塾を開きました。塾の名前は「桃李もの言わざれども、下自ずから蹊を成す」(桃やすももの樹はものを言うことはないが、美しい花を咲かせ、おいしい果実を実らせるため人が集まり自然に蹊(小道)ができるように、徳のある人には自然と人が集まる)という『史記』の一節から取られています。青年には生涯の親友が二人おり、その志に協力を惜しみませんでした。青年の名前は中村春二、その親友は今村繁三と岩崎小弥太と言いました。成蹊大学のルーツは近代日本の一青年の情熱と彼を支えた心からの友情にあります。

時がたち、二十世紀の半ばに大学としての組織が整えられてからも、これからの世を創っていく人を、ひとりひとりに親身になりながら育てていく、という中村春二青年の理念は変わらずに守られ、学生の未来に資する教育内容と、学生が必要とする支援を提供し続けるために、その時代時代にふさわしい改革を重ねてきました。二十一世紀の現在では、経済学部、経営学部、法学部、文学部、理工学部という五学部の体制になり、それぞれの分野の専門教育を少人数のゼミ教育を重視して展開するとともに、一つのキャンパスという利点を生かして、五学部が密接に協力しながら豊かであたたかな学びの場を形作っています。

未来を創る人のための桃李となりそのもとに蹊が成されていく、それが世紀を越えて変わらぬ成蹊大学の願いです。創立者中村春二の抱いた新しい教育への想いをいつの時代も我々は大切にしていきます。