理工学部松田源立
「コンピュータ」「人工知能」と聞いてどのようなイメージが思い浮かぶでしょうか。論理的で間違わず信頼できる、しかし柔軟性がなく曖昧なことは分からない、というのが根強いイメージかと思います。しかし、世界中で蓄積された大量のデータを使って、機械学習と呼ばれる手法で人工知能の改良を続けた結果、今では(かつては苦手とされていた)絵を描くことや人間らしい受け答えをすることが可能な人工知能が出現しています。その一方で、その絵や受け答えは必ずしも現実的に正しくなかったり、不安定であったり、論理的に由来や理由を説明できなかったりします。それはある意味で「人間らしい」と言えるのかもしれませんが、人間と人工知能がお互いの強みを生かして共存していくには、今後は人工知能の信頼性を確保していくことが重要です。当研究室では、数理的な分析とデータ活用を通して、信頼性の高い人工知能の学習手法の開発と、人間が論理的に理解できる知識の抽出に取り組んでいます。
混じり合った信号から元の重要な信号を分離して抽出するというのは、人工知能および機械学習の大きな課題の一つであり、多くの手法が提案されてきました。しかし、信号には様々な種類があり、大量のノイズも含まれるため、抽出に失敗する可能性は低くありませんでした。当研究室では、ノイズを確実に除去し、安定して元信号を抽出する手法の研究を進めています。
現在、様々な分野で大量のデータが電子的に利用可能となっています。それらのデータから学習することで、正確な予測を行う人工知能、あるいは人間と区別がつかない(場合によっては人間を上回る)対応が可能な人工知能の開発が進んでいます。しかし、それらの人工知能の「思考」の中身ははっきりしていないことが多く、人間が知識として活用するのは困難です。当研究室では、所属学生と協同で、チェス・麻雀といったボードゲームの棋譜・牌譜、スポーツにおける記録動画や配球記録、SNSに投稿された書き込みなど、様々なデータを扱い、そこから人間に理解可能な知識を抽出する研究を進めています。
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