何を学ぶか?

学問をひもとくPICK UP! 研究

地図化して分析する環境と経済

一見、無関係な分野のように見える気象や気候が、実は経済に大きな影響を与えている?
地理情報学の深さと可能性を探ります。
気候に左右される私たちの経済活動

『水戸藩大高家日記』
幕末の気象状況が記された歴史資料

経済活動とは、自然環境の上に成り立っていることに注目してみましょう。自然環境の中でも気候や気象は、歴史における社会情勢や私たちの日々の生活に様々な影響を与えている要素の一つです。暑いとアイスがよく売れ、寒いとおでんが売れる、というように、気象条件は私たちの経済活動に様々な影響を与えているのです。近年は、地球温暖化やその影響についての将来予測が注目されていますが、過去にどのような気候変動や気象災害が起こったかを、様々な歴史資料から明らかにし、データ化していくことで、それに基づく将来予測が可能になります。

地図から複雑なデータを読み解く

私のゼミでは、環境と経済の関係性を分析するためにGIS(Geographic Information System:地理情報システム)を使っています。GISは様々なデータを地図化し、さらに複数の地図をレイヤー状に重ねて可視化・分析することができる技術で、現在都市計画や災害対策などに利用されています。例えば、東京の緑地面積の変化と気温の分布図を重ねることによって、都市化とヒートアイランド現象の関係性を考察したり、主要道路と避難所の位置情報の分析によって、災害時の避難経路のシミュレーションを行ったりすることができます。また、商業施設の位置と周辺地域世帯の平均年齢や平均年収などの地図を重ねることで、マーケティングにも応用ができます。こういった空間情報を分析する学問は、地理情報学とよばれ、今後様々な分野で活用されていく可能性をもっています。日常生活と身の回りの環境を、少し意識して観察すると、様々な疑問が浮かび上がってきます。それらについて実際にデータを収集し、空間分析や統計分析で読み解く醍醐味を味わって、問題を自ら解決する力をつけていってほしいと思います。

財城 真寿美 准教授

東京都立大学理学研究科博士課程修了。博士(理学)。学生時代に大規模なエルニーニョ現象が起こり、異常気象が社会にもたらすさまざまな影響に関心を抱く。現在の研究は、歴史資料から過去の気候変動や気象災害を明らかにし、その特徴を分析すること。

研究分野

自然地理学、気候学、地理情報学(GIS)