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理工学部 戸谷希一郎 教授らの論文が米国科学誌 『The Journal of Organic Chemistry』に掲載され、併せて "Supplementary Cover" に採用されました

2023年10月25日

教育・研究

理工学部 戸谷希一郎教授(専門分野:生物有機化学、糖鎖生物学)のグループの「レクチン親和性解析に寄与する多点部分グリコシル化アプローチによる生物学的に重要なオリゴマンノース分岐鎖の調製(Multisite Partial Glycosylation Approach for Preparation of Biologically Relevant Oligomannosyl Branches Contribute to Lectin Affinity Analysis)」と題された学術論文が、米国科学誌『The Journal of Organic Chemistry』に掲載され、併せて "Supplementary Cover" に採用されました。

米国科学誌『The Journal of Organic Chemistry』への掲載ページはこちら

『The Journal of Organic Chemistry』は、アメリカ化学会が刊行する有機化学研究に関する国際学術専門誌で、有機化学分野のTop25%にランクされるQ1ジャーナルです。

戸谷教授のグループは、糖タンパク質上のオリゴマンノース分岐鎖の分岐パターンの違いが生物学的機能に重要であることに注目し、分岐パターンが異なる一連のオリゴマンノース分岐鎖を簡便に合成する手法の開発に取り組んできました。従来の手法は単一のオリゴマンノース分岐鎖合成には有効でしたが、多種類の分岐鎖を同時かつ簡便に合成する手法は報告されていませんでした。
今回の論文では、独自にデザインした共通中間体に対し、複数箇所で同時に分岐鎖を伸長する手法を基軸に、その分岐鎖伸長を意図的に中断することで、多種類の分岐パターンをもつオリゴマンノース分岐鎖群を一度の反応で同時に得ることに成功しました。また合成した様々な分岐パターンをもつ一連のオリゴマンノース分岐鎖群を用いて、待雪草由来レクチンのオリゴマンノース分岐鎖に対する特異性を初めて解明しました。
生体内におけるオリゴマンノース分岐鎖の認識は、HIVやインフルエンザなどのウイルス感染症や、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患と深く関わるため、今回合成した分岐パターンの異なるオリゴマンノース分岐鎖群は、これらの疾患研究への活用が期待されます。

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