Highlights

Highlights

チームで「地方創生」の課題解決に挑む!―経営学部プロジェクト・マネジメント授業レポート

2023年01月31日

PICK UP!

20230131_1.JPG
経営学部プロジェクト・マネジメント授業では、少人数制のアクティブ・ラーニング形式で毎期さまざまなプロジェクトに取り組み、自由な発想でテーマを決めプロジェクト活動を実践することで、チームで課題解決に取り組むためのプロジェクトマネジメントを学んでいます。

■「東京から一番遠いまち」島根県江津市の知名度向上計画プロジェクト、始動。

2022年度後期の「プロジェクト・マネジメント」では、島根県江津(ごうつ)市、クラブツーリズム株式会社、株式会社テレビ東京のご協力により、“東京から一番遠いまち”として知られる江津市のブランディングを考えるプロジェクトを実施。受講学生22名は3チームに分かれて、それぞれが考える江津市の魅力を成蹊大学内でPRする活動を競い合いながら、Z世代を対象とした江津市の知名度向上策を探っていきます。

■プロジェクトを立ち上げる

プロジェクトのスタートとして、学生たちはZoomで島根県江津市や協力企業の方々から江津市の概要と課題について説明を受け、「若い世代の関係人口(地域と多様に関わり、地域の活性化の担い手となる人々)や転入者を増やしたい。そのためのPRを東京の成蹊大学でしてほしい」という江津市の特産品や観光スポット、伝統芸能や食など、アピールポイントとなりそうな情報をたくさんもらいました。

「この観光スポットの再生事業の内容を教えてください」など、学生からの質問も飛び交いつつ、地方プロモーション経験の豊富な企業の方からの「学生の皆さんが普段よく見るものは?TikTokやアニメ…そういうものと絡めてPR方法を考えてみては?」といったアドバイスを基に、学生たちが興味を持った江津市の魅力に沿って、3チーム対抗形式の成蹊大学でのプロモーション活動を開始します。

■プロジェクトの計画を立てる

担当教員の山崎 紅客員教授は、企業の人材開発部門や働き方改革推進部門でのプロジェクトマネージャーや人材開発コンサルタントとしての実務の経験が数多くあります。計画の立て方・メンバー間の役割分担とコミュニケーションの取り方・進捗管理・モニタリング方法など、各回の授業で、チームで仕事を進めるためのプロジェクトマネジメントの基本知識・進め方のノウハウを学生たちに伝授します。

「Z世代に江津市の“何”を”どうやって”PRしたらよいか実験する」が今回のプロジェクトのテーマです。何度もグループディスカッションや発表を重ね、チームを越えてフィードバックをし合った学生たちは、はたして江津市のどんな魅力をどんな風にPRしていくのでしょうか?

学生たちは約1ヵ月に亘り成蹊大学の学生を対象に企画を実行。3チームの考えたプロモーションとは…。

≪チーム「江津革命2022」≫
●テーマ:江津市の特産品「苔」と観光スポット「風の国」
・苔テラリウム体験会と展示会を実施。
・「風の国」の魅力と学生ならではの観光モデルコースを立案し、Instagramで配信
 

≪チーム「海老原」≫
●テーマ:江津市の伝統芸能「石見神楽」
・江津市を含む島根県石見地方の伝統芸能「石見神楽」の魅力をSNSで発信。

≪チーム「カルマンド」≫
●テーマ:江津市の特産グルメ
・江津市の特産「牛蒡(ごぼう)」と「まる姫ポーク」を使った炊き込みご飯を江津市限定メニュー として第一学生食堂で販売

■プロジェクトを終了する

迎えた成果発表会には江津市長もゲストスピーカーとしてご参加いただき「市の最重要課題は少子高齢化。それを改善できるような市のPRとなる学生さん視点のアドバイスがあれば嬉しい」とメッセージを頂戴しました。

3チームの成果発表では、企画の目的・内容・スケジュール・イベント参加者やSNSでの反響、アンケート結果などを報告しながら、学生自身の感想、課題と展望などが次々と語られます。

学生の報告・感想
・ 「アンケート結果からグランピングなどの自然アクティビティに若い世代が注目していることを受けて、大学生にもニーズがあるのではないかと考え今回の企画を立てた」
・ 「苔をテラリウムにして参加者に持ち帰ってもらえたことが大きい。家に飾った苔をみた家族や友人が話題にしてくれ、そこから江津市の検索をしてみたりと興味が広がっていった」
・ 「Instagramのリール投稿を意識的に増やし、若い世代にも伝統芸能の迫力・派手さを感じてもらうことで興味をもってもらおうとした」
・ 「学食とコラボメニューを出すだけでは魅力は伝わらない。メニューを頼んでくれた人と江津市をどう繋げるかを考えることが重要だと感じた」

江津市・企業の方々からの講評
・ 「普段からどうやって地方を周知するかと考えている中で、ゴールの裏側=なぜ江津市なのか?江津市だからこそ、ということを深堀りしてシーンを演出することが重要。皆さんにも今後もぜひ意識してほしい」
・ 「マスコットやのぼり、SNSなど、学生ならではの視点でのプロモーション活動がすばらしかった。生の声としてアンケートをもっと実施してみたら次に繋がると思う」
・ 「シティプロモーションとして、吉祥寺にある成蹊大学で江津市をPRしてもらえたのは嬉しい。今回で関係値を作れたので、いつか江津市を訪れてほしい」

最後にチームへの応援投票数と江津市・協力企業の方々からの評価を基に、優勝チームが発表されると教室が沸きました。

総まとめとして、山﨑客員教授から「プロジェクトマネジメントの観点では、メンバー全員が役割を果たしてカバーし合っていたチーム、イベントを2回行うことでPDCAを回せていたチームが優れていた」「“食”PRを学食で行ったチームは、全学部の学生と教職員にアプローチできるので、テーマと手段の選択という点で戦略勝ち」「一部のメンバーに負荷がかかったチームは分担・協力してもらう働きかけ力が今後の課題」「Z世代へのアプローチ方法を探る実験としては全チームとも施策実行後の分析が不足」「全体的には、限られた時間のなかで主体的に活動できていた」など、各チームの評価ポイントや課題点が語られ、学生たちは真摯に聞き入っていました。

「授業でここまでプロジェクトを遂行するとは思っていなくて大変だったが、チームでプロジェクトを進める力の必要性が分かり、達成感を得られた」「江津市や関係企業の方々以外にも、さまざまな方々に支えられた。ご協力や励ましの言葉をいただいてうれしかった」などと笑顔で語る声も聞かれ、学生たちにとっても、実体験を積みながら実践力をつける有意義な時間となったようです。