2026年05月13日
水球班が取り組む地域連携活動は多岐にわたります。武蔵野市から協力の依頼を受け、小・中学生に対して、水球、ボール投げの指導をしたり、ボールを使ったチームビルディングの基礎を指導するなどの活動を実施。年間40〜50校の学校に赴き、指導をしています。中でも、小・中学校での水球の指導が好評だったため、さらに本格的に教えるため武蔵野文化生涯学習事業団「土曜学校・水球教室」(全8回)に拡大して開催されました。さらに、「土曜学校・水球教室」の教え子たちから数名が水球のクラブチームに入るほど、指導した小・中学生に水球の魅力が伝わっています。


これらの活動は、決して「与えられた仕事」ではなく、「自分たちの価値を見出し、応援されるチームになる」という意識を持って、学生たちが主体となって行っています。
2022年に本学水泳部水球班コーチに就任した水球元日本代表キャプテンの志水祐介さん。水球の技術面・戦術面だけではなく、水球班の地域連携活動を本格化させた司令塔でもあります。
就任一年目は、「地域連携活動の意味やメリットを学生たちに理解してもらうのに時間がかかった。どのスポーツでも人に支えてもらうことは大事。応援される人になるには、自分のできることで誰かに貢献していく。やらされてやるのではなく、主体的にやっていくことに意味がある」と志水コーチ。
「厳しいときは厳しいが、何でも聞いてフィードバックをもらっている。私たちに寄り添ってくれ、自分で考えるように促してくれる」と学生から信頼される存在です。
日々の授業や練習に追われる学生たちが、なぜここまで地域活動に心血を注ぐのか。きっかけは「マイナースポーツである水球を広めたい」という想いが。さらに、そこには活動を続けるなかで感じた、キャンパス内だけでは得られない「成長の実感」があります。
副主将の鈴木康太さん(理工学部)は、地域連携のスケジュール管理や運営を任されています。「バランスよく部員を配置し、子どもたちの安全を確保しながら成長する機会を与えることがとても難しかったです。今は子どもたちと関わることが好きになり、指導を通じて、子どもたちへ伝えることの難しさと喜びを学びました」と言います。
「学生たちは、試行錯誤しながらいろいろな役割を経験しています。例えば、小学校の授業は学年によって言葉のチョイスを変えるなど、子どもたちの成長に合わせた指導を心がけたり。そして、子どもたちに『小さな成功体験』を提供できた時、学生たちも大きな学びを得ています」と志水コーチ。
また、主務の重田莉花さん(経営学部)は、組織のブランディングや情報発信の重要性も実感しています。「活動報告をまとめ、SNSで戦略的に発信しています。どうすれば私たちの活動を理解し、ファンになってもらえるか、いろいろ工夫しています。大変なことも多いが、社会に出るための『仕事の組み立て方』を学ばせてもらっています」
地域連携の活動は、学生たちの部活動への意識や競技面にもポジティブな循環を生んでいます。水球教室のイベントで写真やサインを求められる学生たち。そして、ファンになってくれた小中学校の子どもたちや地域のみなさんが、水球班の試合に観客席が埋まるほどたくさん駆けつけてくれています。子どもたちに「あのお兄さんだ!」と声をかけられ、自分たちが「見られている存在」であることを自覚します。「かっこ悪いところは見せられない」と、競技面・私生活においてプラスの影響を学生たちに与えてくれました。
学業と競技、そして地域連携の活動を高いレベルで両立させている水球班。その活動が学内外から高い評価を受けています。幅広い活動内容は成蹊大学内での表彰(※詳細は下記を参照)を受け、大学外ではスポーツの発展に寄与する取り組みが認められ、「UNIVAS AWARDS 2025-26」の大学スポーツプロモート優秀取組賞に入賞。学生主体の取り組みが注目を集めています。 「学生たちは素直で理解力・行動力が早い」と評価し、「武蔵野市のスポーツの顔になり、地域連携のロールモデルとなれる力がある」と志水コーチ。学生たちも「武蔵野市以外からも応援してもらえるチームになりたい」と地域連携でまだまだできることがあると期待と希望を抱いています。
学生たちが自ら種をまき、育ててきた地域との絆は、成蹊大学の新たな誇りとして、今日もプールサイドに活気をもたらしています。
※2025年度成蹊大学賞学生表彰式4部門で受賞
・スポーツ特別奨励表彰団体 正式種目優勝団体
・成蹊大学賞 スポーツ部門
・特別奨励賞 社会活動部門
・国際交流賞
今回の取材で印象的だったのは、学生たちが「地域貢献」を義務ではなく、自分たちの成長や競技への力に変えている姿、スポーツの枠を超えて「自ら考え、社会とつながる」真摯な姿でした。
プールで見せるアスリートの顔とはまた違う、地域の中での頼もしい表情に、学生たちの「人間力」を感じました。