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経済学部 山上浩明教授の研究論文が学術雑誌『Cleaner and Responsible Consumption』で公刊されました

2022年05月23日

教育・研究

経済学部経済数理学科 山上浩明教授(専門分野:公共経済学・環境経済学)の論文「Time Rebound Effect of Households' Energy Use: Theory and Evidence(松山大学 溝渕健一教授との共著)」が、『Cleaner and Responsible Consumption (CRC)』で公刊されました。CRCは、持続可能かつ責任のある消費活動に関する分野横断的な研究論文を出版する査読付き国際学術誌です。

論文概要
オンライン・ショッピング、食器洗い機、衣類乾燥機、自動掃除機などの技術(以下、時短技術)の発達とその普及は、家事労働時間を短縮させ、負担を減らします。ただし、これらの時短技術の多くはエネルギー(電気)を使用します。さらに時短技術が減らした家事時間は、エネルギーを使用する他の活動にも費やされます。つまり、時短技術はその技術が消費するエネルギーのみならず、エネルギーを消費する他の活動を助長し、想定以上のエネルギー増加効果を持つかもしれません。そこで本論文は、時短技術を通した時間とエネルギーの利用の関係に注目し、定性的・定量的に分析しました。
まず、本論文は時短技術がエネルギー需要に与える効果を経路別に理論的に示しました。特にこのモデルの貢献は、時間リバウンド効果(以下、TRE)を導いたことです。TREとは、時短技術が家計の自由な時間を増やすことで生まれた家計の追加的行動がエネルギー需要量に与える効果です。さらに本論文は、電力使用量データとサーベイ調査からTREの定量推定を行いました。その結果、「食品のネット購入」と「衣類乾燥機」が、家計の時間の使い方に有意な変化をもたらすことがわかりました。特に、衣類乾燥機が、時間利用の変化を通じて、電気使用量を2.58%増加させるTREを生むことが明らかにされました。


論文はこちらからご覧いただけます:(外部リンク ※英語サイト・オープンアクセス)

ワーキングペーパー版(英文)はこちらからご覧いただけます:FAERE(フランス環境資源経済学会) Working Paperシリーズ