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文学部細谷広美教授のプロジェクト型授業で、El Colegio de la Frontera Surの黒宮亜紀准教授がメキシコから講演

2023年01月16日

教育・研究

成蹊大学「プロジェクト型授業」を実施している文学部国際文化学科の細谷広美教授の「国際文化基礎演習Ⅳ」(2年生対象)で、メキシコとオンラインでつなぎ(時差15時間)、黒宮亜紀先生(メキシコ国立南部国境大学El Colegio de la Frontera Sur准教授)に、現地から「メキシコ南部の国境:国境の町と国境を越える人々」というタイトルで講演いただきました。細谷教授の「プロジェクト型授業」では、人口の約2割が外国籍住民である群馬県邑楽郡大泉町観光協会の協力を得て、日本における移民政策と移民の方たちの現状を、移民政策の不在を含めて考察するとともにフィールドワークの基礎を学んでいます。

黒宮先生は、都市人類学及び移民研究を専門とされる気鋭の人類学者で、メキシコのイベロアメリカーナ大学で博士の学位を取得された後、現在チアパス州タパチュラ・キャンパスで、移民とトランスボーダープロセス研究グループに所属し調査研究されています。講演では、「移民」とはどのような存在か、国境の意味の多様性、グローバル化における一つの結節点として国境の町というサイトで起こっている現実についてお話しいただきました。メキシコというとトランプ政権時代に国境に壁を作る計画が進められたことが知られていますが、実際にはメキシコは「移民送出国」であるだけでなく、「移民受け入れ国」、「移民通過国」でもあります。歴史的にも多くの亡命者/移民/難民を受け入れてきています。

黒宮先生が研究されているタパチュラ市は、中米グアテマラとの国境に位置し、日常的に人々が仕事や買い物、教育のために正規・非正規ルートを問わず国境を往来し、あるいは国境をまたいで家族が交流するということがみられます。一方で、中南米からアメリカ合衆国への移住を目指す人々の通過点ともなってきました。しかし、2018年頃からハイチ出身者が急増するという現象が起こっています。ハイチでは地震によって多くの難民が生まれ、ワールドカップやオリンピック開催に伴う労働需要によってブラジルに渡った人々が、その後職を失い、アメリカ合衆国への移住を目指してタパチュラ市に集まっているのです。現在はハイチからの人々に加え、同様にアメリカ合衆国への移住を目指すアフリカ、アジア、中東出身者等、世界各地から様々な人々が集まり滞在しています。人口わずか36万人の街で、2022年度だけでも7万人以上の難民申請がなされており、このため、移民、難民を支援するIOM(国際移住機関)、UNCHR(国連難民高等弁務官事務所)、ユニセフをはじめとする国際機関や国内外のNGOなど、50以上の外部機関・組織が集まるという状況も生まれていることが伝えられました。

講演後は、実際にフィールドワークをおこなう際のアドバイスなど、学生たちの質問にも一つ一つ丁寧に答えていただきました。

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