2026年08月19日
理工学部 戸谷希一郎 教授/リーディングリサーチャー(専門分野:生物有機化学、糖鎖生物学)のグループに所属する廣瀨光了助教と元学部4年生の鈴木由佳さんは、同学部の沖光脩助教、横山明弘教授との共同研究により、「応答性アグリコンを有する切り替え可能な糖鎖プローブによるUDP-グルコース:糖タンパク質グルコシルトランスフェラーゼのpH依存的活性制御 (Switchable glycan probe enables pH-dependent activity modulation of UDP-glucose: glycoprotein glucosyltransferase through a responsive aglycone)」と題した学術論文を発表し、英国科学誌『Chemical Communications』に掲載されました。本論文は特にその学術的独創性とビジュアルインパクトが評価され、同誌の "Outside Front Cover" にも選出されています。
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『Chemical Communications』は、化学分野全般を対象としたハイインパクトな速報誌であり、特に有機化学分野においては上位25%に位置するQ1ジャーナルとして国際的にも高く評価されています。

生体内では、タンパク質が正しい立体構造へ折りたたまれるよう、さまざまな酵素がその状態を監視しています。小胞体に存在する酵素、UDP-グルコース:糖タンパク質グルコシルトランスフェラーゼ 1 (UGGT1) は、正しく折りたたまれていない糖タンパク質を認識し、その糖鎖にグルコースを付加することで、再び折りたたみ経路へ戻す重要な役割を担っています。これまで、蛍光色素を結合した糖鎖プローブは、こうした酵素反応を「観察する」ために広く利用されてきましたが、プローブ自体の特性によって酵素活性を積極的に制御することは困難でした。
本研究では、環境応答因子であるpHに応じて構造が可逆的に変化するフルオレセインを高マンノース型糖鎖に導入した「スイッチ型糖鎖プローブ」を開発しました。このプローブを用いることで、pH変化に応じてUGGT1によるグルコース転移活性が変化しました。さらに反応途中でもpHを変えることで酵素活性を動的に切り替えられることも明らかにしました。
本成果は、糖鎖プローブを「観るための分子」から「酵素機能を操る分子」へと発展させる新たな分子設計指針を示すものであり、将来的には細胞内の糖タンパク質品質管理機構を自在に解析・制御する化学ツールの開発につながることが期待されます。
■論文情報
タイトル:Switchable glycan probe enables pH-dependent activity modulation of UDP-glucose: glycoprotein glucosyltransferase through a responsive aglycone
著者:廣瀨光了、鈴木由佳、幸蓮太郎、沖光脩、佐藤渓琳、横山明弘、戸谷希一郎
雑誌名:Chemical Communications
DOI: https://doi.org/10.1039/d6cc02099b
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