Highlights

Highlights

未知へ挑み、自発的に学び続ける精神を。

2016年07月26日

Interview

main05.jpg

成蹊大学 学長 北川 浩


社会に有為な人材を育成するために、大学教育はどうあるべきか ―
北川学長に、成蹊大学ならではの特色ある取り組みや今後のビジョンなどについて伺いました。


ー 成蹊大学は、優れた人材育成のために独自の取り組みを実践していると伺っています。それらの取り組みの核となるお考えは何でしょうか。

成蹊には創立者である中村春二先生の素晴らしい教育理念、思想があります。 それは成蹊大学の教育の背骨となるものであり、また、特色あるプログラムや取り組みを生み出す源泉であると言えるでしょう。 「個性尊重」の人間教育。学生と教員が信頼関係を築き、お互いの人間力を高めあう「品性の陶冶」。実体験から学ぶ「勤労の実践」。 そして、こうした理念に向かっていく上で支えとなる考えが、一人ひとりが主体的に学ぼうとする「自奮自発の精神」です。

中村先生が初めて手掛けた高等教育機関である成蹊実業専門学校の設立趣旨は、「教育は一生のものなり」の一文で始まります。 この中で中村先生は、教育の本質とは一生を通して知的好奇心を発揮し続け自らを成長させる意志の養成にある、と説いています。 もちろん、成蹊大学においてもこの「自奮自発の精神」を高めていくという考え方をしっかりと受け継いでいます。 学生が自発的に学びたくなるように、未知のものに積極的にチャレンジする機会、多様な価値観に触れる機会をいろいろと用意しています。

ph01.jpg

ー 具体的にはどのような取り組みがありますか。

まず、キャリア教育として「丸の内ビジネス研修(MBT)」というユニークな人材育成プログラムを実施しています。 これは、ビジネスの中心である東京・丸の内を主な舞台として行っているもので、歴史的に成蹊とつながりが深い三菱系企業をはじめ、様々な業種の有力企業から協力をいただいています。 参加した学生は、企業から提示された実際の課題に半年以上の時間をかけて取り組みます。 学生は文系・理系が融合したチームを組みますが、これはワンキャンパスの成蹊だからできること。 異なった思考法や価値観に触れることで刺激しあい、議論を深め、視野を広げるのに役立っています。 企業側からの評価は高く「学生がここまでやるとは驚きました」という声をいただきます。 課題解決能力やコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力などを実践で磨き、参加した学生は皆、もう見違えるほど成長しますね。

キャリア支援にも触れると、成蹊大学は伝統的にきめ細かな個別相談を重視しています。 学生数が多すぎない大学だから可能なんですが、キャリア支援センターでは専門の相談員が学生と一対一で、納得いく進路についてじっくり話し合います。 成蹊大学は独自の人間教育や専門教育、さらにこうした密なサポート体制が相まって、毎年大企業へ多数の人材を送り出しており、「就職に強い成蹊」という評価をいただいています。

ph02.jpg

ー 今日の大学はグローバル化への対応も欠かせません。

もちろんです。そもそも国際教育は成蹊の伝統のひとつでもあり、早くから特色ある取り組みを行ってきました。 例えば「成蹊国際コース」は全学部から約80人を選抜して編成する特別コースで、学生は各学部の科目と並行して英語での特別プログラムを受講します。 単なる英会話上達ではなく、グローバル社会で通用する発信力や課題解決能力など、実践的・総合的な英語能力を身につけることを狙いとしています。

また、入学間もない1年次に約100名が参加して実施される「サマースクール」も特徴的です。 提携するオーストラリアの大学で語学学習中心のプログラムに参加しながら、1カ月のホームステイを体験します。 異文化に触れるとともに、海外で学び、国際人として成長していく第一歩を早い段階で踏み出します。

留学制度も多彩で、とても充実しています。 世界13カ国29校(2016年7月現在)と協定を結んでいる協定留学など、留学先も留学スタイルも豊富。さらに、留学奨学金・補助金制度など、経済的サポートも充実しています。 将来グローバルに活躍したい学生には、申し分のない環境が成蹊にはあります。

ph03.jpg

ー 今後、どのような視点に立って革新を進めていきますか。

今、日本全体の大学教育はパラダイム・シフトを起こしていると考えています。 "教える側が提供する教育を、受動的に受けることで卒業証書を手に入れる"という姿勢から、"学ぶ側が、大学で何を身につけ、どのように社会に貢献していくのかを自ら能動的に見つける"という考え方がより重要になってきています。 これはまさに成蹊教育が100年以上前から目指してきたものにほかなりません。 成蹊大学では先ほど申し上げた「MBT」や「成蹊国際コース」をはじめ、これからの大学に求められる人材教育のプログラムが数多くありますが、学生が積極的に未知の世界にチャレンジできる仕組みや環境づくりに今後も一層力を入れていきます。

また、これからの時代は多様性を尊重する精神「ダイバーシティ」がますます重要になると考えています。 深く学んで研究を掘り下げていく専門分野を、一つよりも二つ、二つよりも三つと広げていくことができれば、教養の幅が広がり、人間性をより豊かにすることができます。 文系理系の全学部・全学生が集うワンキャンパスという強みを生かしながら、多様な価値観に触れて切磋琢磨していけるようなダイバーシティを推進していきます。

ー 成蹊大学の門を叩こうとしている受験生にメッセージをいただけますか。

有意義な大学生活をおくっていただくための3つのキーワードをご紹介しようと思います。 ひとつめは「ともだち」。人は一人では踏み出せないことでも、友人と一緒なら闘っていくことができます。 ワンキャンパスの成蹊大学で、生涯つきあっていけるような友人、人生の財産となる友人をぜひ見つけてください。 2つ目のキーワードは「わくわく」です。わくわくする気持ちは人間が仕事をしていく上での最も大きな原動力です。 わくわくして行った仕事は、時として世界や歴史を変えるほどの成果を生み出します。 成蹊大学にはさまざまなチャレンジの機会と、学生がのびのびとチャレンジできる校風があります。 一点突破でもいい。手当たり次第でもいい。思い切り「わくわく」してください。3つ目は「なぜ?」と問い続ける心です。 常識と言われていることでも、立ち止まって自分自身に「なぜ?」と問いかける。 そこから、「考える」と「調べる」という行動が生まれます。 この繰り返しによって思索力と分析力、つまり知的レベルが飛躍的に向上していきます。ぜひ大学生活の中で、自分自身の知的好奇心にまかせて「なぜ?」を繰り返してみてください。

豊かな自然に囲まれた吉祥寺のキャンパスには、学生一人ひとりの可能性を引き出す大きな世界が広がっています。 積極的に「未知」に触れ、「未知」に飛び込み、自らを磨き高める「自奮自発」の4年間に、全力で挑戦してほしいと願っています。

ph04.jpg
  • このコンテンツはYOMIURI ONLINEに公開された内容を再編集したものです。コンテンツ内容や、学生の在籍学部学科名、在籍年次、教員の役職等の情報は2016年度公開時のものとなります。